民泊新法→住宅宿泊事業法(仮称)3月通常国会提出へ

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2017.2.21現在 住宅宿泊事業法、いわゆる「民泊新法」の全容(法案)が明らかになりました。

全文は、こちら↓

●住宅宿泊事業法案

以下、重要条文を解説します。

住宅宿泊事業法(民泊新法)における用語の定義

第1条  法律の第1条は目的条文となっている場合が多いのですが、この法案もそうですね。

そして、第2条で用語を明確に定義しています。以下要旨です。

住宅とは、生活の本拠として使用するために必要な設備が設けられている家屋、人の居住の用に供されていると認められるもの

この法律の対象の住宅を「届出住宅」といい、建築基準法上の「住宅、長屋、共同住宅、寄宿舎」は届出住宅を含むとしています。

宿泊とは、寝具を利用して施設を利用すること→ほぼ旅館業法と同様です。

※現段階では、解説がないので、マンションの標準管理規約(国土交通省の雛形)との整合性は不明です。

住宅宿泊事業=民泊のこと

住宅宿泊事業とは、旅館業法に規定する営業者(つまり、ホテル、旅館、簡易宿所、下宿の許可業者)以外の者が、

宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数として省令で算定した日数が1年間で180日を超えないものをいう。→日数については、省令(つまり施行令)に定めるところとなっていますので、全容、計算方法はまだ不明です。

住宅宿泊事業者とは、住宅宿泊事業を営む者をいう。→つまりホスト(宿主)のことです。

届出制(都道府県知事(保健所のある市、特別区など))

住宅宿泊管理業務=代行業

住宅宿泊管理業務とは、第5条から第11までの規定による業務及び住宅宿泊事業の適正な実施のために必要な届出住宅の維持保全に関する業務をいう。

住宅宿泊管理業とは、住宅宿泊事業者から委託を受けて、報酬を得て住宅宿泊管理業務を営事業ををいう。

住宅宿泊管理業者代行業者のことです。

登録は5年毎(国土交通大臣の登録)

登録要件などの詳細は現段階では明らかではありません。

住宅宿泊仲介業務

住宅宿泊仲介業務→宿泊者又は住宅宿泊事業者のために、代理、媒介、取次する行為→つまりAirbnb社や旅行業法における許可業者が行うような旅行代理店のようなサービスのことです。

住宅宿泊仲介業者登録を受けて仲介業を営む者

登録は5年毎(観光庁の登録)→財産的基礎の要件があります。

所管は都道府県

第3条

都道府県知事(保健所設置市、特別区)→旅館業法の所管と同じです。つまり、東京23区であれば、区長に権限があるということですね。

※保健所:地域保健法に基づき都道府県政令指定都市中核市特例市その他指定された市(保健所設置市)特別区が設置する地域住民の健康や衛生を支える公的機関。旅館業のみならず、飲食業や公衆浴場の許可も管轄します。

届出手続(住宅宿泊事業)

第3条

☑都道府県知事に届出→直接の所管は都道府県

☑届出事項(主なもの):

・商号、名称、氏名住所

・住宅の所在地

・委託をする場合は委託先名

・住宅の図面

・誓約書

など、旅館業法の許可申請と酷似しています。

遵守事項や許可要件

第5条 宿泊者の衛生の確保

第6条 宿泊者の安全の確保

第7条 外国人観光客である宿泊者の快適性及び利便性の確保→外国語の案内等の標記

第8条 宿泊者名簿

第9条 騒音防止などの宿泊者に対する説明

第10条 苦情処理

このあたりの条文は旅館業法に特区民泊(日本で始めて施行された大田区の特区民泊条例)の規定を織り交ぜているように見えます。かなり、特区民泊を実証実験として、その成果(大田区、大阪市、大阪府の条例)を法律に組み入れたという印象を受けます。

※写真は、特区民泊個人事業者第1号施設(KOMINKA(当事務所申請))

罰則(主なもの)

仲介事業者の無登録・名義貸や虚偽の届出→1年以下の懲役・100万円以下の罰金

かなり重い罰則規定となっています。

住宅宿泊事業者についての罰則はあまりありません。向届けの営業についての罰則などもありませんが、これは、昨年のあり方検討会や閣議決定時の議論によれば、「無届営業=旅館業法違反」となるとのことでしたので、

当然のことながら、旅館業法の罰則規定も住宅宿泊事業法同様に「1年以下の懲役・100万円以下の罰金」に引き上げられ、厳罰に処せられるようになると解されます。

今後の動向

この流れで行くと、3月に閣議決定され、内閣が国会に法案を提出する見込みです。法律の施行は正確にはわかりませんが、登録は施行前から始まる模様

ただし、施行令や条例で180日の数制限について規定される可能性は濃厚ですから、依然として動向を注視する必要があります。

なお、情報が明らかになれば、本記事を加筆・更新して行きます。

本気の事業者はやはり「簡易宿所」

ただし、弊所としては、

●住宅宿泊事業法(仮称)、いわゆる「民泊新法」は、投資用物件の空きを埋めるためや、マンスリーマンションの補完的な利用に向いていると解されます。

本気で住宅などを利用して宿泊事業を営むのであれば、新法ではなく、あくまで、旅館業法上の許可である「簡易宿所」の一択だと考えます。※特区法の施行地、大規模な施設の場合はホテルという選択もあり。→この辺りは旅館業法も改正されますから、改正内容も注視!

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