土地の流動化・空家対策5つの法律|5つの政策で全国の空家・遊休地を活性化!!

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政府も発表しているように現在、空家の増加が大きな問題となり、当サイトでは、民泊、旅館業により空家の活用を推進していますが、全国的には、人口減や都市集中等様々な要因により、空家は増加しています。今回は、空家対策に活用できる5つの政策(法改正)をご紹介します。

次の表は、総務省の統計データですが、全国に誰も住んでいない住宅が800万個超存在します。世帯数は6000万個ですから、約13.5%が空家ということになります。

出典 国土交通省空き家等の現状について https://www.mlit.go.jp/common/001172930.pdf

○ 住宅・土地統計調査(総務省)の要旨

❶空き家の総数は20年で1.8倍(448万戸→820万戸)に増加

❷空き家の種類別の内訳では「賃貸用又は売却用の住宅」等を除いた、「その他の住宅」(いわゆる「その他空き家」)がこの20年で2.1倍(149万戸→318万戸)に増加➡つまり賃貸にすら出していない空家が倍以上に増加

❸「その他の住宅」(318万戸)のうち、「一戸建(木造)」が220万戸

都道府県別の空家

https://www.mlit.go.jp/common/001172930.pdf

全国的には鹿児島や、高知などが空家が多く、東京都などの都市部が少なくなつていますが、利用価値の低い空家をそのまま放置している原因としては、固定資産税の優遇措置が大きな要因となっています。

固定資産税・都市計画税 税率と軽減税率

固定資産税の税率は1.4%、都市計画税の税率は0.3%ですが、算定今季よとなる土地の評価がが住宅用地の場合、優遇措置があります。

住宅の敷地
(住宅用地)
小規模住宅用地( 住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分)
固定資産税:評価額×1/6 
都市計画税: 評価額×1/3
一般住宅用地( 住宅用地で住宅1戸につき 200㎡超の部分)
固定資産税:評価額×1/3
都市計画税:評価額×2/3
住宅以外の敷地上記の優遇はない。

具体的には、住宅用地、つまり居住用の建物が建つていれば、自己居住であれ、アパートであれ、上記のように軽減されます。しかし、住宅ではない、駐車場や店舗、旅館などの要地であれば、優遇はなくなります。

全国の空家は、とりあえず、取り壊して駐車場にし、わずかな利益を得るよりも、固定資産税の免除の方が利益が高いと考え、 固定資産税の軽減を受けるために何もせず放置されているケースが多いのが原状でしょう。

こういった、空家の流通活性化のために妻ざまな施策が取られていますが、近年の代表的な政策として、以下の5つの法改正が注目されています。

因みに、空家は、利用可能なもののみでも48万戸は存在するとされています。

出典 国土交通省空き家等の現状について https://www.mlit.go.jp/common/001172930.pdf

❶空家対策特別措置法 |空家法

正式には「空家等対策の推進に関する特別措置法( 平成26年法律第百二十七号)」 です。空家対策のための法律ですが、具体的には、自治体が「特定空家」を指定することにより、権限を行使することが容易になり、最終的には、罰金や行政代執行を行うことを可能にし、崩れかけの空家を行政権限により解体し、費用を所有者や相続人に請求可能となりました。

法のポイントは、以下の3つの点で、重要なのは固定資産税の優遇措置の撤廃です。

空き家対策特別措置法3つのポイント!!

  • 特定空き家に指定➡固定資産税が増加➡固定資産税が6倍に
  • 空き家所有者に対して行政からの勧告、命令が可能に
  • 行政代執行により所有者に代わって空き家解体も可能

❷建築基準法改正

建築基準法が2019年6月に改正されました。この改正は近年稀に見ぬ抜本的な改正で、主に木造住宅の規制緩和を目的としています。

ポイント

  • 用途変更の確認申請が必要な面積の緩和100㎡➡200㎡
  • 耐火構造とする木造の高さ規制の緩和13m➡16m(4階以上)
  • 木造準耐火構造の3階建ての特殊建築物が可能に(要防火区画)
  • 建蔽率、容積率の一部緩和➡延焼防止性能の高い建築物や、老人ホームなど。

これによって。怒りような建築物の利用法が促進されると考えられます。

❶木造3型建ての準耐火構造の建築物➡旅館業・民泊、老人ホーム(サ高住など含む。)、店舗付き住宅などへの転用

❷木造3階建ての学校や旅館など、天井を高く13m➡16m 天井高が1.2倍に

❸防火地域や準防火地域の既存存不適格(建蔽率オーバー)物件の耐火性能を向上させることにより法適合

その他、生産緑地法改正に伴う緩和も注目されます。※❹参照

❸宿泊関連3法の制定・改正|住宅宿泊事業法(民泊新法)制定、旅館業法、特区法

住宅宿泊事業法制定|民泊新法

2019.6.15に旅館業法の特別法ともいえる住宅宿泊事業法が施行されました。本サイトで制定前から解説してきましたが具体的には以下のとおりです。

  • 自治体に届け出ることにより一般の住宅を宿泊施設に利用可能
  • 年間営業日数については、最大で180日/年
  • 家主不在型で運営する場合は➡住宅宿泊管理業者に委託(法定。ダイシンの登録業者)、消防法令に基づき消防設備の設置(自動火災報知設備など旅館業と同等のもの)
  • 2カ月に1回定期報告

住宅の宿泊施設への転用、利用を促すことにより、空家率の低下、物件の流動化を促進

※過去の解説記事はこちら

住宅宿泊事業法成立(徹底解説)

住宅宿泊管理業者 登録の要件とは? (民泊新法解説1)

住宅宿泊事業者の届出事項等の解説 (民泊新法解説2)

住宅宿泊事業者の届出事項等の解説 (民泊新法解説3)消防設備

※動画での解説はこちら

旅館業法改正

住宅宿泊事業法の施行と併せて、旅館業法が改正され、従来ホテルは10室、旅館は5室からしか営業できませんでしたが(最低客室数の制限)、これが撤廃され、1室からでも旅館業が営業可能になりました。

従来ホテルを建設する場合、1室の面積が15㎡程度と想定すると15㎡×10室とフロントなどの付属施設など含むと、200㎡弱の面積が必要でしたが、1室から営業可能となったため、ワンルームマンションや小さな戸建てからの転用が容易になりました。

※過去の解説記事はこちら

❹生産緑地法改正

生産緑地とは、農業を継続することを条件に、固定資産税・相続税の得点を売れることができる農地です。生産緑地法によって1992年に始まった制度で、都市農地を減らさないための施策として機能してきました。

最低30年間は農地・緑地として土地を維持する制約の代わりに、税制面で大幅な優遇が受けることがでるという内容のこの制度ですが、2022年期限が到来し、住宅用地が増加し、結果的に、土地価格の増加、空家率の増加を招きかねないため、法改正し、

  • 生産緑地の延長や建築物や利用方法の緩和を規定(農家レストラン、農地の賃貸など)
  • 面積要件緩和により、新たな指定や指定解除に伴う現象の抑制(指定最低面積500㎡➡300㎡)

詳細はこちら 生産緑地法の改正|2022年問題とは?

❺不動産特定共同事業法

不動産特定共同事業法は、投資家から資金を調達、不動産を小口化したうえで、それを元に売買・賃貸し、その収益を投資額に応じて配当する不動産事業のことをいいます。

不動産特定事業法は2017.6.2に改正法が公布。同12.1に施行されました。従来は大規模なプロジェクトが主流でしたが、法改正され。小口から可能になりました。

事業要件・資産要件タイプ
一号事業 出資者との契約に基づき、不動産投資から得た利益を分配➡資本金が1億円以上かつ、負債が資産の10%未満 利益配分
第二号事業 不動産特定共同事業の契約を仲介、代理。
資本金が1千万円以上かつ、負債が資産の10%未満
仲介型
第三号事業専業の特例事業者による委託を受けた不動産特定共同事業。資本金が5000万円以上かつ、負債が資産の10%未満。特例投資家のみが参加可能 利益配分
第四号事業専業の特例事業者との不動産特定共同事業契約を仲介、代理。資本金が1千万円以上かつ、負債が資産の10%未満仲介型

小規模不動産特定共同事業の創設(2017~)

要件:投資家1人当たりの出資額が100万円以内+投資家の出資総額が1億円以内

不動産特定共同事業 許可制
小規模不動産特定共同事業 5年の登録更新制、最低資本金1000万円

小規模不動産特定共同事業の創設により、従来は参加できなかった、小口の小規模投資による不動産投資として、空家を含めた小規模不動産を活用できるようになりました。

以上、5つの法律の概要をご紹介いたしましたが、5回に分け、個別に解説いたします。

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