新規就農、農業参入の要件|農地法3条(農業委員会)とは?

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農地法により、農業への新規参入(新規就農)は、制限されています。2019年現在農家数は激減し、農業従事者の平均年齢は60代後半となっている今、個人経営の農家は減少しています。農地の流通性を高めるため、徐々に規制が緩和されてきましたが、依然として農地法3条の『農業委員会の許可』が最大のハードルとなっています。それでも、農業参入の門戸は平成21年の株式会社参入解禁以降、農地の流通量は拡大しています。

❶農地法3条と農業委員会

(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)

第三条 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。

農地法3条抜粋

農業委員会とは、 農地法に基づく農地の売買・貸借の許可、農地転用への意見具申などを中心に農地に関する事務を執行する行政委員会として市町村に設置されています。

農業委員会の構成員

出展 農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/pdf/iin_gaiyou.pdf

農業委員会の委員については地元農家や農業団体から選出されており、地元農家からの選挙で選出された【選挙委員】と地元農業団体から選出された【専任委員】で構成されます。つまり、農業委員会のメンバーのほとんどが、農業団体や専業農家ですので、農地を取得する場合、地元との調整が不可欠でしょう。

出展 農林水産省 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg2/nogyo/140203/item1.pdf

農業委員会のない自治体

なお、以下の自治体については、農業委員会が設置されておらず、 農業委員会が設置されていない自治体は、農業委員会が行う業務については、市区町村長が行うことになっています(農地法90条1項参照)

  • 北海道
    • 室蘭市、歌志内市、鹿部町、泊村、神恵内村、上砂川町、礼文町、利尻町、羅臼町
  • 群馬県
    • 上野村
  • 千葉県
    • 浦安市
  • 東京都
    • 千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、渋谷区、中野区、豊島区、北区、荒川区、檜原村
  • 神奈川県
    • 逗子市、箱根町
  • 兵庫県
    • 芦屋市
  • 奈良県
    • 上北山村
  • 山口県
    • 和木町
  • 高知県
    • 大川村
  • 沖縄県
    • 浦添市、北谷町

❷農業に参入する場合の要件|個人の場合

農業に参入するための要件は、以下の通りで、就労日数などの要件もありますが、なんといってもこの中で一番重要なのは、農地の確保です。

農地は原則として、50a必要ですが、50aとは、5,000㎡のことですから。最低限以下のような農地を確保する必要があります。 以下の表のような面積ですが、なかなかの広さの土地が必要です。

新規就農の場合、土地と就農計画、資金、資材を調達し、農業委員会に土地の取得を諮るということになります。

❸ 農業に参入する場合の要件| 法人の場合

法人の場合も、個人と要件は、おおむね共通しています。

平成21年の農地法の改正により、法人が農業に参入しやすくなりました。

一般的な要件(営農計画+土地の確保等)を満たせば、賃貸契約の農地であれば、1人以上の農業従事の要件を満たせば、参入可能です。

なお、農地)保有する場合は『農地保有的確法人』の要件を満たす必要があるので、農業がメインの法人で、議決権を農業関係者が過半を占めている必要などがあります。

一般法人が農地を取得する方法(参考)

一般法人が農地を借りて農業をするには以下のような方法が考えられます。

  1. 農地中間管理機構(いわゆる農地バンク)の公募(借りて募集)に応募し、都道府県知事が認可して公告した「農用地配分計画」により権利を取得する方法(根拠法:農地中間管理事業の推進に関する法律)
  2. 個別に農地所有者と交渉(不動産仲介など含む)し、その上で、農業委員会の許可を受ける方法(根拠法:農地法3条)
  3. 市町村の「農用地利用集積計画」による方法( 根拠法: 農業経営基盤強化促進法)

農地保有的確法人の例

農業者が出資をし、または農地を法人に提供し、または、法人を設立するなど、農業者が経営に参画する必要があり、農業者単体もしくは、農業者以外と合弁で法人を設立するなどが考えられます。

❹今後の農業、農地の展望

現在、農業従事者の平均年齢は66.6歳で、農地の承継(相続)や法人の農業への参入が加速しており、農地が流動化してきています。

今後、世代交代や規模拡大など様々な変化が起こることが想定されますが、土地集約、規模拡大など農業にとっては、未来は明るいと思います。

出展 農林水産省資料 https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/sannyu/attach/pdf/kigyou_sannyu-18.pdf

当事務所は、農業関連について、農地の売買、賃貸や新規就農等のあっせんなども含めて総合的にサポートしていければと思います。

※当事務所は農業関係の専門性が高い人材が手続きを担当しており、本記事は、農業機関(国家機関)職員として16年以上従事した所長の知見に基づき執筆されています。

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