宅建業許可(国土交通省大臣免許)

1. 免許の区分

宅建業の免許には以下の2種類があります。

  • 都道府県知事免許:1つの都道府県内にのみ事務所を設置する場合
  • 国土交通大臣免許:2つ以上の都道府県に事務所を設置する場合

例えば、千葉と東京に事務所を設けて営業する場合、大臣免許が必要となりますが、今回は 「大臣免許」 について解説します。


2. 申請者の要件

大臣免許を取得するためには、申請者が以下の要件を満たす必要があります。

事務所の要件

  • 2つ以上の都道府県に事務所を設置すること
    • 事務所とは、宅建業を営むための拠点を指し、単なる登記上の本店や支店のみではなく、実際に営業を行う場所を指します。
    • 自宅などを事務所として登記する場合は、営業実態があるかどうかが重要視されます。
    • 各事務所ごとに、供託金が必要です。

一般的には事務所は以下のように他の会社や居住空間から独立していることが必要です。

供託金

以下の通り、財産的な要件を担保するために、供託金が必要となります。

供託額
主たる事務所(本店) 1, 000万円
従たる事務所(支店等) 500万円(1店につき)

ただし、弁済業務保証金分担金を支払い、保証協会に加入すれば、前記の営業保証金を供託する必要はありません。協会に加盟する場合は以下の通りです。

弁済業務保証金分担金の納付額
主たる事務所(本店) 60万円
従たる事務所(支店等) 30万円(1店につき)

※ 加入の際は、加入金等が必要となりますので、併せて直接保証協会へお問合せください。一般的にはトータルで本店につき100万円~150万円程度です。

宅地建物取引士の設置

  • 事務所ごとに専任の宅地建物取引士を設置する必要がある
    • 従業員5人に1人以上の割合 で設置しなければならないとされています。専任とは、宅建業に専従し、他の業務に主たる時間を割かないことを言いますので、他の会社で常勤で働いている宅建士の兼業などはできません。※副業については緩和されています。

欠格要件に該当しないこと

申請者(法人の場合は役員や重要な使用人を含む)が、以下の欠格要件に該当しないことが求められます。

  • 過去 5年以内 に免許取消処分を受けている
  • 禁錮以上の刑、または宅建業法違反で罰金刑を受け、 5年を経過していない
  • 破産手続開始の決定を受けており、復権していない
  • 反社会的勢力(暴力団等)との関係がある
  • 宅建業に関する不正行為を行った

3. 資本金・財産的基礎

  • 宅建業を適正に運営できる 財産的基礎 が必要です。債務超過の場合は不可です。
  • 最低100万円以上の資産 が必要とされるが、実務上はより多くの資本を有することが望ましいでしょう。

4. 申請手続き

(1) 提出書類

  • 宅地建物取引業免許申請書
  • 定款・登記事項証明書(法人の場合)
  • 事務所の賃貸借契約書(賃貸の場合)
  • 専任の宅地建物取引士の資格証明書
  • 役員の住民票・身分証明書
  • 直近の決算書(法人の場合)   など詳しくは以下の通りです。

(2) 申請先

  • 事務所の所在地を管轄する 国土交通省本省 または 各地方整備局等

(3) 申請手数料

  • 90,000円(収入印紙)

5. 免許の有効期間と更新

  • 有効期間は5年間
  • 更新する場合は、有効期限の 90日前から30日前まで に更新申請を行う

6. 監督・義務

大臣免許取得後は、以下の義務を守る必要があります。

  • 宅地建物取引士の設置を維持
  • 報酬額の掲示義務
  • 取引台帳の作成・保存
  • 営業保証金の供託 または 保証協会への加入
  • 定期的な業務報告の提出

まとめ

大臣免許を取得するためには、2つ以上の都道府県に事務所を設置し、一定の財産的基礎を有し、欠格要件に該当しないことが求められます。さらに、専任の宅地建物取引士を設置し、国土交通省への申請手続きを適正に行うことが必要です。

詳細な申請書類や手続きは、国土交通省または各地方整備局のウェブサイトで確認できます。