賃貸住宅管理業者登録

1.賃貸住宅管理業の登録制度

数年前から、敷金・保証金返還、更新料などの賃貸に係るトラブルの裁判などが、多く取りざたされるようになりました。これまで、知識不足から泣き寝入りしていた市民が、法テラス(独立行政法人日本司法支援センター)の創設や法科大学院制度を始めとする司法制度改革やマスコミやメディアでの法律関係の番組の増加など、市民の法律に対する感覚・意識が向上したのが理由ともいえますが、一方で、以前から問題となつていた管理業者側の家賃滞納者に対して部屋のカギを換えてしまったり、張り紙を張ることによって近隣住民にあえて滞納者であることを知らせるなどといった嫌がらせ、強引な取立てなども問題視されています。

このように、借主・貸主の間に立って物件の管理をする業者に対し、法的な責任を含め、様々な状況で、公正て公平な対応が求められるようになってきています。

しかしながら、建物の賃貸や売買の「契約」については、「宅建業法」という厳格な法律があり、業者=不動産業者についは、許可制となっており、専門家である『宅地建物取引士(旧宅地建物取引主任者)』の設置が義務付けられていますが、「管理」について明確な法令がないため、解釈の争いなどが生じており、この点も各種のトラブルの根底にあるものと考えられます。基本的には、トラブルが起きた場合、管理会社については、法定された件減や義務が明確でないため、基本的には民法で係争することとなり、専門家である弁護士や行政書士などの士業に依頼したり、行政に相談したりする場合が多いのが現状です。

そこで国土交通省は、新たに賃貸住宅管理業者を登録制にして明確なルールを義務づけることで、入居者や借主と大家あるいはオーナー、管理会社それぞれのトラブル発生を未然に防ぐための制度を告示により創設したのです。制度は言わないかも取れませんが、少なくとも統一ガイドラインができたわけです。

この平成23年12月1日から登録が始まっており、借主・貸主・管理業者の信頼関係が構築されることで、紛争の発生を未然に防ぐことができるほか、適切な管理を行う事業者が評価されることにより、賃貸住宅管理業の健全な発展に寄与することが期待されています。

2.賃貸住宅管理業とは?

【2.1 賃貸住宅管理業者登録制度創設】
賃貸住宅は、住宅ストックの4分の1以上(約1340万戸とも言われています)を占め、約8割の所有者が管理会社に管理委託しています。

管理会社は、管理を専門に行う会社であったり、また、不動産業者(宅建業者)が兼義)が兼業していた理と様々です。
今に始まったことではありませんが、特に、敷金返還や契約更新などの管理業務に係るトラブルは近年増加しています。
これは、宅地建物の取引については、宅地建物取引業免許が存在し、規制がかけられていましたが、一般的に不動産管理業といわれる管理業については、法規制などが全くないのがそもそもの問題です。

そこで、賃貸住宅管理業者の登録に関し必要な事項を規定する「賃貸住宅管理業者登録規程」、登録事業者が遵守すべき一定のルールを定める「賃貸住宅管理業務処理準則」が国土交通省告示において規定されました。これらは、法律でこそありませんが、国の統一方針として機能させる目的であることは明白です。

「賃貸住宅管理業者登録」は登録しないと管理業ができないというわけではなく、登録しなくても管理業を営むことができ、登録は任意です。

 しかし宅地建物取引業協会などの業界団体も登録を推奨していて、新たに賃貸住宅管理業者の団体も設立されてきているので、管理業を営んでいる事業者は登録することをお勧めします。

【2.2 登録の効果?】
この制度により登録されると事業者名が公表されるため、その事業者が賃貸住宅の管理業務に関し、一定のルールに沿って重要事項の説明や書面交付、受領家賃

などの分別管理を適切におこなっていることが一般に明らかになります。
名前が公表されますから、一定のルールに沿った業務を行っている事業者と判断することはできると思います。(ただ、登録は、過去の犯罪歴などなければ、ほぼ認められるため(2017.1現在)これだけでは信用力の完全な担保とはなりませんが…)

それでも、一定の水準を担保していこうとする業界と国の意思については明白です。

特に、メリットとなるのは、

❶ 海外の投資家に対しての信用力の担保
❷ 今後制定されるであろう、民泊新法による「民泊施設管理」業務の受け皿として期待
❸ 宅建業やマンション管理業者の営業許可を持たない管理業者の信頼性の確保

デメリット?

特にデメリットというものはないのですが、手続きとして、

●毎事業年度終了後3ヶ月以内に業務状況及び財産の分別管理状況の報告書を管轄の地方整備局長に報告する必要があること

●また、5年に1度の更新が必要となり、

●契約や管理対象についての重要事項説明や書面の交付などの業務負担がデメリットとして挙げられます。ただし、これは建設業や宅建業も同様ですから、専門家である行政書士にご相談いただければと思います。

当事務所の考える賃貸住宅管理業の登録をすることによって生ずるメリット

  • 住宅宿泊管理業は独占業務(許認可)・・・そもそも無許可で民泊の代行はできなくなる。
  • 民泊関連の集客に有利
  • メインである事業(不動産業など)との相乗効果や差別化

登録を受けた事業者名は公開されるため、その業者が賃貸住宅の管理業務に関し、一定のルールに沿って重要事項の説明や書面交付、受領家賃など財産の分別管理を適切に行っていることなどが一般に明らかになります。借主などは、こうした情報を物件選択や管理業者との契約の判断に活用することが可能となるので、登録を受けていない業者と登録を受けている業者とで比較されることとなると想定されます。その点、登録業者は登録されていない業者よりも優位となると考えられます。また、登録を受けることで一種の国のお墨付きを得られると考えれば借主やオーナー、大家さんにアピールできるポイントとなるでしょう。なお、国土交通省建設産業・不動産業の中の賃貸住宅管理業者一覧のHPに登録業者が掲載されています。
現在のところ(2012.01.20)登録にかかる審査手数料が無料ですので、ほとんど登録にかかる費用がかからない点が大きなメリットです。今後、審査手数料が有料となるのか無料のままなのか不明ですので、この無料機会に登録をする業者の方が増えています。

【登録できる事業者】
賃貸住宅管理業とは、基幹事務として登録規程に挙げられている「家賃、敷金等の受領事務」「契約更新事務」「契約終了事務」のうち、少なくとも1つの事務を含む管理事務を行うものと規定されています。
この基幹事務を1つもやっていないのであれば、登録を受けることはできません。

つまり不動産屋の場合、宅建業(売買や仲介)のみであれば登録は受けられませんし、清掃などの業者の場合、清掃管理だけでは管理事務とは言えないのです。
また、登録の対象となっているのは、「受託管理(貸主から委託を受けて賃貸住宅の管理を行う事業)」と「サブリース(賃貸住宅を転貸し、貸主として管理を行う事業)」です。

【登録申請について】
登録申請書の作成自体は簡易なものです。宅建業免許などを既に取得している事業者は添付書類を省略することもできます。

これは、既に知事や大臣に対して同様の書類を提出して審査を受けているからであり、宅建業者はかなり登録上優遇されています。

(個人の場合)
・住宅の取引又は管理に関する2年以上の実務経験
・宅地建物取引士
・管理業務主任者
・賃貸不動産経営管理士

(法人の場合)
・住宅の取引又は管理に関する2年以上の実務経験を有する法人
・宅地建物取引業
・マンション管理業
・賃貸住宅管理業

要件については、欠格要件に該当しなければ経営規模や売上高などに関わらず登録をすることができます。
※宅建業のように宅建主任者などの資格者が必置ということはありません。
登録申請の手数料なども不要です。
申請書の提出先は各地方整備局になっています。九州であれば九州地方整備局です。
登録を受けた後は定められた標識を掲げ、定期的に地方整備局に書類を提出する義務・負担が出てきます。

→現在は、登録の要件に資格はないものの、今後は….

※ 平成28年9月以降は、登録要件として「賃貸不動産経営管理士」または「実務経験者(6年)」の設置が義務付けられ (全面施行は平成30年7月からになります。) ます。

 また、登録された業者である場合は、住宅の賃貸契約に際して行われる重要事項説明書に住宅の管理者の氏名 及び住所に加えて登録番号も記載され、説明が行われることになります。

【関係規定】

●賃貸住宅管理業者登録規程

賃貸住宅管理業務処理準則

賃貸住宅管理業者登録規程及び賃貸住宅管理業務処理準則の解釈・運用の考え

賃貸住宅管理業者登録規程に係る登録申請等について

【登録の更新手続について】

登録の有効期間は5年です。

有効期間満了後も引き続き登録を受けようとするときは、有効期間満了の日の 90日前から30日前までに登録の更新申請が必要です。
登録の更新手続については こちら(国土交通省ホームページリンク)をご覧ください。

【実務経験者等の登録手続について】

登録規程の改正により、事務所ごとの実務経験者等の配置が必要となりました。
実務経験者等の登録をされていない場合は、平成30年6月30日までに登録事項変更届により、実務経験者等の登録を行ってください。
(変更手続で登録することになります。 こちらをご覧ください。)
※未登録のまま変更期限を超過した場合、賃貸住宅管理業者の登録が抹消されます。ご注意ください。

【業務等状況報告書の提出について】

登録を受けた賃貸住宅管理業者は、賃貸住宅管理業者登録規程第8条により、毎事業年度の終了後3月以内に「業務等状況報告書」を提出する必要があります。提出を怠ると登録規程に基づき登録が抹消される場合もあります。必ず期限内に提出されますようご注意ください。
なお、平成28年度の改正により様式が変更(簡素化)されています。下記リンク先の様式でご提出ください。  (業務等状況報告書の 様式)

【罰則】

特段の罰則はありません。しかし登録事業者が登録規程や業務処理準則に違反したときなどは、業務の適正な運営を確保するため、必要な助言、指導、勧告を受けることがあり、事業者名を公表されることがあります。
また、登録を抹消されることがあります。


3.今後の賃貸住宅管理業

「賃貸管理」について業者に対する明確な法令がないため、たくさんの問題が現実に生じています。

これを国土交通省が先陣を切り、登録制にすることで国の管理下に置き、管理・監督しようというものなのです。この登録制度は「登録」ですので、今後、賃貸管理に関する法制度化がなされますと宅地建物取引業や建設業などのように登録制から免許制あるいは許可制に移行しましたりする可能性もあります。民泊についての法律ができれば、祖の管理士’の要件となる可能性も秘めています。

宅地建物取引主任者のように、必須人的要件の明確化を目指していますから、公的資格(国家資格ではない)である「賃貸不動産経営管理士」の国家資格化や審査手数料の有料化などが加わる可能性も将来的にはあるかもしれません。

また、登録の義務化がなされる可能性も否定できません。たとえば、同じ国土交通省所管のマンション管理業者についも、マンション管理適正化法によって、それまで任意登録だったマンション管理業者の登録が義務化された事例が過去にはあります

基本的には、規制はなかなか緩和されず、

●マンション管理業者→法制化、登録の義務化(国家資格である管理業務主任者の設置義務付け)→実質的な許可制

●建設業 免許制→許可制 ※許可制の方が厳格です。

となった経緯がありますから、賃貸住宅管理業者についても、特段の理由がないのであれば、登録のデメリットはないのではないでしょうか?

登録の手続きは、宅建業、建設業などの許可申請を行う当事務所にお任せください。

料金(当事務所報酬)

賃貸住宅管理業者の登録
(国土交通省告示登録資格)
新規10万円~(支店の数に応じて変わります。)
※お得なプラン
新規(宅建業免許又はマンション管理業者登録業者の場合)6万円~(支店の数に応じて変わります。)
名簿登載内容変更届 3万円/1項目~
※戸籍関係、住民票、納税証明等が必要な場合は、別途実費が必要となります(代理取得もできます(報酬額1通につき2千円))
支店がある場合は1支店につき2万円加算となります・
(上記料金は税抜きです。)
更新(宅建業免許又はマンション管理業者登録業者の場合)6万円~(支店の数に応じて変わります。)

お問い合わせ

特に宅建業許可業者については、重複する書類の添付は、現在のところ省略可となっていますから、いまがチャンスです。

詳しくは当事務所までお問合せください。

〇下記のお問い合わせフォームに入力し送信してください
(または info@fujino-gyosei.com まで直接メールをお送りください。)

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