民泊・宿泊事業Q&A

Q1.民泊とは何?

A.法定されたものはありませんが、民泊とは、旅行者などが、一般の民家に宿泊することですが(ホームステイなどもそうです)、特に、日本では、宿泊者が対価を支払う場合に用いられることが多く、日本では、マンションやアパートなどの自宅や空き部屋などでホテルや旅館のようなサービスを一般の人が提供することを主にいいます。
 最近、ニュースで耳にするようになった「民泊」とは、賃貸アパートや持ち家の空き物件などを主に外国人の旅行者に料金を対価として貸し出す新しいビジネス形態ですが、主な形態として、民泊用物件(部屋)を民泊仲介サイト(Airbnbが代表的です)に登録し、サイトを見て予約 してきた外国人旅行者に泊まってもらい、サイトにマッチングの仲介手数料を払い、旅行者からサイト経由で宿泊料をもらうシステムです。
 都内、特に大田区や港区、新宿区などは宿不足ですから、近隣のホテル都同じくらいの料金設定にしたとしてもビジネスとして成り立つケースが多く、空き部屋対策、新たなタイプの投資としても注目を浴びています。
2016.1.31現在

Q2.日本における法規制は?

A.日本においては、宿泊サービスを提供する場合、「旅館業法」という法律が実行力を持っています。つまり、宿を営む場合は、旅館業法による許可を受けて営業する必要があり、民泊はどう考えても旅館業に該当します(定期借家契約といえなくもないですが、実体的には旅館業です)。
旅館業とは、「宿泊料を受け、人を宿泊させる事業」 のことを言い、「宿泊とは寝具を提供する」ことですので、民泊は旅館業に当たるのです。
旅館業を営むためには都道府県知事(特別区は区)の営業許可が必要になります。民宿やマンスリーマンションであっても本来的に許可が必要です。
ただ、一般のアパートやマンションでは、立地条件や設備要件など、旅館業法の許可を取れる物件は限られるのも現状で、多くの民泊物件は無許可営業であるケースが多いのが現状です。
※民泊に関する法律は、本格的に宿を営む場合、建築基準法、都市計画法、食品衛生法、風営法などその他の法令も関係してきますのでご注意ください!
追記:2017.6.9民泊の法律である「住宅宿泊事業法」が成立しました。

Q3.日本における規制緩和

A.日本では旅館業法による規制があるものの、2020東京オリンピックを控え、宿の需要が飛躍的に増しています。2008年に誕生したアメリカのAirbnbが日本に参入してから、民泊の件数は増える一方で、また、経済政策として、安倍晋三首相を中心とする政府は、2014年、国家戦略特別区域法を制定し、民泊)後押しする政策をとっています。具体的には『特区』を設けて、その自治体内では旅館業法の規制を緩和して民泊を合法化しようというものです。
 大阪府議会や大阪市議会に、民泊を推進する条例案が提出され、2015年10月に大阪府議会で可決、時を同じくして2015年10月、国家戦略特別区域に指定されている東京都大田区が、「外国人旅行者の増加に対応するため、個人宅やマンションの空き部屋を宿泊施設として営業できるよう」旅館業法上の特例扱いを容認する条例が可決され、2016年1月末からこの条例が適用されます。
 これにより、大田区では、旅館業の許可要件(立地要件や面積、設備の要件)が緩和され、マンションやアパートの一室であっても営業が許可される可能性が出できました(詳細は2016.1に発表都のことです)。営業できるよう平成28年1月26日にガイドラインを制定し基準が公表されました。
 同年1月29日からは申請の受付が始まり、まずは、2件の事業者が申請を行い認定されました。

※イメージ

Q.4 用語の解説

①国家戦略特別区域

  国家戦略特別区域法2条で地域振興と国際競争力向上を目的に規定された経済特区
 民泊に関しては「滞在施設の旅館業法の適用除外 ⇒外国人の滞在ニーズへの対応」を目的として、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の認定を受けると旅館業法が適用除外となります。適用場外ということは、旅館業法上は許可基準を満たしていない場合も、旅館業法と同様の営業ができるということになります。
現在、東京都、神奈川県、千葉県(成田市、千葉市)、大阪府、兵庫県、京都府、福岡県(北九州市、福岡市)が指定されています。

②旅館業法

 日本における、旅館業(ホテル、旅館、簡易宿所、民宿)の許可基準等を区規定した法律。民泊は通常「有償で宿泊」させることを業として行っているため、旅館業法の無許可営業ではないかといわれている。旧厚生省の通達では、1月未満の借家は旅館業法に抵触するという趣旨の通達もあります。
○ウィークリーマンションを旅館業に該当との見解  (昭和六三年一月二九日)(衛指第二三号)の内容 
【旅館業法運用上の疑義について】

(昭和63年1月29日)(衛指第23号)(各都道府県・各政令市・各特別区衛生部(局)長あて厚生省生活衛生局指導課長通知)

標記について、東京都衛生局環境衛生部長より照会〔別添1〕があり、〔別添2〕のとおり回答したので、通知する。
〔別添1〕
(昭和62年12月25日 62衛環第727号)
(厚生省生活衛生局指導課長あて東京都衛生局環境衛生部長照会)

近年、社会需要の多様化に伴って、新たな営業形態を持つ施設が出現しており、本件もいわゆるウィークリーマンションと称する短期宿泊賃貸マンションとでもいうべき施設で、旅館業と貸室業の中間的な営業形態をもつものと考えられます。
旅館業法の運用にあたっては、昭和61年3月31日付衛指第44号厚生省生活衛生局指導課長通知が示されているところですが、本件の旅館業法上の取り扱いについて疑義が生じたため、至急ご回答願います。

(施設の状況及び管理等)

1 施設は既存のアパート、マンションの空室又は専用に建築した室を賃貸する。
2 利用日数の単位は、1週以上とし最長制限の定めはないが、実態としては1~2週間の短期利用者が大半である。
3 利用者は手付金を支払って予約し、入居時までに物品保証金及び利用料等を支払い賃貸契約を締結した上、入居する。
4 客室には日常生活に必要な設備(調理設備、冷蔵庫、テレビ、浴室、寝具類等)が完備している。
5 室内への電話器、家具等の持ち込みは禁止している。
6 利用期間中における室内の清掃等の維持管理は、全て利用者が行う。
7 シーツ、枕カバーの取り換え、浴衣の提供等リネンサービスは行わない。
なお、利用者からの依頼があれば請け負い会社を斡旋する。
8 食事は提供しない。
9 光熱水費は各個メーターで契約解除時に別途清算する。
10 本施設の利用者は、主として会社の短期出張者、研修生、受験生等である。

(質問点)
昭和61年3月31日付、厚生省指導課長通知によれば、旅館業法にいう「人を宿泊させる営業」とは、

1 施設の管理・経営形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあるものと社会通念上認められること
2 施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないことを原則として営業しているものであること

の2点を条件として有するものであるとされている。
本施設を、この2条件に照らして判断すると、

1 契約上、利用期間中の室内の清掃等の維持管理は利用者が行うこととされているが、1~2週間程度という1月に満たない短期間のうちに、会社の出張、研修、受験等の特定の目的で不特定多数の利用者が反復して利用するものであること等、施設の管理・経営形態を総体的にみると、利用者交替時の室内の清掃・寝具類の管理等、施設の衛生管理の基本的な部分はなお営業者の責任において確保されていると見るべきものであることから、本施設の衛生上の維持管理責任は、社会通念上、営業者にあるとみられる。
2 また、生活の本拠の有無についても、利用の期間、目的等からみて、本施設には利用者の生活の本拠はないとみられる。

前記より、本施設を、旅館業法の適用対象施設として取り扱うのが相当と考えるが如何。

〔別添2〕
(昭和63年1月29日 衛指第23号)
(東京都衛生局環境衛生部長あて厚生省生活衛生局指導課長回答)

昭和62年12月25日付け62衛環環第727号をもって照会のあった件について、左記のとおり回答する。


近年、いわゆるウィークリーマンションをはじめとして、新しい形態の旅館業類似営業がみられるが、これらが旅館業法にいう「人を宿泊させる営業」に該当するか否かは、公衆衛生その他旅館業法の目的に照らし、総合的に判断すべきものであることはいうまでもない。
照会の施設については、貴見の通り、旅館業法の適用対象施設として取り扱ってさしつかえない。

③借地借家法

 住宅を貸す場合に適応される法律。借家人の権利についても規定されるが、民泊のような短期契約は、借地借家法の適用を受けるのかというと、微妙なところです。確かに、1日でも定期借家契約ということは言えると思いますが、過去に厚生省の通達により、「1か月未満の短期」、「生活の本拠を置かない」、「寝具などを提供(維持管理をオーナーが行う)」などに該当する場合は、旅館業法に抵触する旨の通達が出ています。
したがって、マンスリーマンションは微妙なところですが、ウィークリーマンションや民泊は、旅館業許可が必要ということになります。
○旅館業の定義に関する国の見解 

(昭和61年3月31日)(衛指第44号)(各都道府県各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生省生活衛生局指導課長通知)の内容

(昭和61年3月31日)(衛指第44号)(各都道府県各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生省生活衛生局指導課長通知)

旅館業法(昭和23年法律第138号。以下「法」という。)第2条第5項に規定する「下宿営業」については、昭和32年8月3日衛発第649号公衆衛生局長通知第1(4)により、「なお、いわゆるアパート、間貸し等のように一時的又は比較的短期間の止宿のための施設と通常目されないものは法第2条第5項の下宿には該当しないものであること」として、下宿営業に該当するか否かの判断についての例示がなされている。
しかしながら、これまでの運用において下宿営業と貸室業との区別が必ずしも十分ではなかったため、本来下宿営業の許可の対象とならない施設についても許可が求められている事例も見受けられるとの指摘がなされている。
「下宿営業」とは、法第2条第5項に定義するとおり、「人を宿泊させる営業」であって、1月以上の期間を単位とする宿泊料を受けるものをいうが、「人を宿泊させる営業」という旅館業の営業の本質においては、他の旅館業の営業と相違はないものである。
ここで、「人を宿泊させる営業」とは、アパート、間貸し等の貸室業との関連でみると、

一 施設の管理・経営形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められること。
二 施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないことを原則として、営業しているものであること。

の2点を条件として有するものであり、これは下宿営業についても同様である。このような観点からみると、例えば、いわゆる学生下宿は、部屋の管理が専ら学生に委ねられており、しかも、学生がそこに生活の本拠を置くことを予定していることから、営業の許可の対象とはならないものである。
今後とも、以上の観点から、許可の要否につき判断されたい。

(付記)
一について
法は、営業者がその営業施設の構造設備についてのみならず、施設の管理面についても責任を負うことを前提として必要な規制を行っている。このため、法第4条は、営業者に宿泊者の衛生に必要な措置を講じることを義務づけており、施設についての衛生上の維持管理は営業者において行うことを予定している。この点において、室内の管理が間借り人に全面的に委ねられている間貸し等と根本的に異なるのである。

二について
旅館業においては、その営業施設が社会性を有する形で、一般大衆に利用されるものであるからこそ、公衆衛生又は善良の風俗の維持の観点から必要な規制を行うのである。従って、宿泊者に生活の本拠を与えることを予定したアパートのような形の営業形態は、個々人の生活の集積に過ぎず、少なくとも現行の旅館業法による規制は予定しないものである。
なお、いわゆる「ホテル住まい」として、他に生活の本拠を有さない者が、長期間ホテル等に滞在する場合等においては、その者は、そこに生活の本拠があると認められることもあろうが、営業全体としてはそうした形態を予定していない場合、当然、前記二に該当することとなる。

↑上記通達をさらに昭和63年に照会し、裏読み(反対解釈)して、下宿営業が1月以上であり、それより短い宿泊営業は旅館業法の許可が必要と解釈するのが通例です(cf.大田区特区民泊説明会)

④シェアハウス

 1部屋を複数人で使用するような形態を言います。法律上の定義はありません。
 英語的にはシェアリングハウスなんでしょうか。
詳しくはブログで書きました。
※シェアハウスについての、重要な通達は
⑤特区民泊
    国家戦略特別区域法に基づく民泊を特区民泊と呼んでいます。だれがネーミングしたのかはよくわかりませんが、大田区の説明会ではこのような呼称で区が説明していました。この後、私は通常の民泊とは区別して、特区における特定認定を受けた民泊を本サイトでは、特区民泊と記載するようにしました。
    許可(特定認定)を取れば、旅館業法の規定によらず、旅館業法同様の営業を行うことが可能になります。原則として、宿泊ではなく、賃貸借契約により建物を貸すという契約内容になります。

Q.4 民泊が人気の理由は?

Q.5 民泊に関する法律

●旅館業法
●借地借家法
※詳しくは関連法のページをご覧ください。