住宅宿泊管理業と住宅宿泊仲介業の登録
民泊市場の拡大に伴い、「民泊運営代行を始めたい」「民泊予約サイトを運営したい」と考える事業者も増えています。しかし、民泊関連ビジネスを行う場合には、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく登録が必要になるケースがあります。
特に重要なのが「住宅宿泊管理業登録」と「住宅宿泊仲介業登録」です。
本記事では、それぞれの制度の概要と登録要件、実務上の違いについて解説します。
住宅宿泊管理業とは
住宅宿泊管理業とは、住宅宿泊事業者(民泊オーナー)から委託を受けて、民泊施設の管理業務を行う事業です。
主な業務には以下が含まれます。
- 宿泊者の本人確認
- 宿泊者名簿の管理
- 清掃や衛生管理
- 設備の維持管理
- 近隣住民からの苦情対応
- 緊急時の対応 など
家主不在型の民泊では、原則として住宅宿泊管理業者への委託が必要となるため、民泊運営代行会社にとって必須となる登録です。
住宅宿泊仲介業とは
住宅宿泊仲介業とは、宿泊者と住宅宿泊事業者の間に立ち、宿泊契約の媒介や取次ぎを行う事業です。
代表的な例としては以下があります。
- 民泊予約サイト
- OTA(Online Travel Agent)
- 民泊マッチングプラットフォーム
- 民泊に関する旅行代理店のような紹介等の業務
Airbnbのような予約サイトを運営する場合には、この住宅宿泊仲介業登録が必要になります。
「住宅宿泊管理業登録」 と 「住宅宿泊仲介業登録」 の主な要件
住宅宿泊事業法(民泊新法)における 「住宅宿泊管理業登録」 と 「住宅宿泊仲介業登録」 の主な要件を比較表にまとめました。
| 項目 | 住宅宿泊管理業登録 | 住宅宿泊仲介業登録 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 住宅宿泊事業法 第22条~ | 住宅宿泊事業法 第46条~ |
| 業務内容 | 民泊物件の管理・運営代行(清掃、苦情対応、宿泊者名簿管理、設備維持等) | 民泊予約サイト・OTA等として宿泊契約の媒介・代理・取次を行う業務 |
| 登録行政庁 | 国土交通大臣(実務は地方整備局等) | 観光庁長官 |
| 登録の有効期間 | 5年 | 5年 |
| 更新 | 必要 | 必要 |
| 新規登録免許税 | 9万円 | 9万円 |
| 更新手数料 | 19,700円(電子申請19,100円) | 26,500円(電子申請25,700円) |
| 申請方法 | 民泊制度運営システムによる電子申請が原則 | 民泊制度運営システムによる電子申請が原則 |
| 財産的基礎 | 必要(国土交通省令基準) | 必要(観光庁基準) |
| 業務遂行体制 | 必要 | 必要 |
| 欠格事由 | あり | あり |
| 法人役員の審査 | あり | あり |
| 暴力団排除要件 | あり | あり |
| 誓約書・添付書類 | 必要 | 必要 |
住宅宿泊管理業登録の主な人的要件
住宅宿泊管理業者は、業務を適切に行うための体制を有している必要があります。実務上は次のいずれかを満たす責任者等の配置が求められます。
| 要件区分 | 内容 |
|---|---|
| 資格保有者 | 宅地建物取引士 |
| 資格保有者 | 管理業務主任者 |
| 資格保有者 | 賃貸不動産経営管理士 |
| 実務経験 | 住宅の取引・管理に関する2年以上の実務経験 |
| 講習修了 | 住宅宿泊管理業登録実務講習修了者(2023年制度改正後) |
不動産業者の場合一部書類が省略されますので、非常に有利です。

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001724729.pdf
住宅宿泊管理業の主な登録拒否事由
以下に該当すると登録できません。
- 破産者で復権していない者
- 登録取消から5年未満の者
- 禁錮以上の刑や一定の法令違反による処罰後5年未満の者
- 暴力団員等
- 財産的基礎が不足している者
- 業務遂行体制が整備されていない者
- 法人役員に欠格事由該当者がいる場合
住宅宿泊仲介業登録の主な要件
仲介業者(OTA、予約サイト運営等)は、観光庁長官の登録を受ける必要があります。登録後は以下の義務があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 約款作成 | 住宅宿泊仲介業約款の作成・届出 |
| 契約説明 | 宿泊者への契約内容説明 |
| 苦情対応 | 宿泊者・住宅宿泊事業者対応 |
| 業務体制 | 適正な仲介業務遂行体制 |
| 欠格事由 | 法定欠格事由に非該当 |
| 更新 | 5年ごとの更新 |
「住宅宿泊管理業登録」 と 「住宅宿泊仲介業登録」実務上の違い
| 観点 | 管理業登録 | 仲介業登録 |
|---|---|---|
| 代表例 | 民泊運営代行会社、清掃・チェックイン代行会社 | Airbnb型プラットフォーム、予約サイト |
| 必要な専門性 | 不動産管理・建物管理 | 旅行業・オンライン仲介 |
| 管轄省庁 | 国土交通省 | 観光庁 |
| 参入難易度 | 人的要件(資格・経験)が重視される | システム・約款・仲介体制が重視される |
どちらの登録が必要なのか、民泊ビジネスの形態によって必要な登録は異なります。
民泊運営代行会社の場合
以下のような業務を行う場合は住宅宿泊管理業登録が必要です。
- チェックイン対応
- 清掃手配
- 宿泊者対応
- 苦情処理
- 施設管理
民泊予約サイトを運営する場合
以下のようなサービスを提供する場合は住宅宿泊仲介業登録が必要です。
- 宿泊施設の掲載
- 予約受付
- 決済代行
- 宿泊契約の媒介
両方必要になるケース
近年増えているワンストップ型の民泊支援事業では、
- 予約サイト運営
- 集客支援
- 運営代行
- 清掃管理
までを一括で提供するケースがあります。
この場合、事業内容によっては住宅宿泊管理業登録と住宅宿泊仲介業登録の両方が必要になる可能性があります。
まとめ
住宅宿泊管理業と住宅宿泊仲介業は、いずれも住宅宿泊事業法に基づく重要な制度です。
- 民泊施設の運営・管理を行うなら「住宅宿泊管理業登録」
- 宿泊予約の仲介を行うなら「住宅宿泊仲介業登録」
というのが基本的な考え方です。
民泊関連ビジネスへの参入を検討している場合は、自社の事業スキームを整理した上で、必要な登録の有無を事前に確認することが重要です。登録要件や業務範囲を正しく理解し、法令を遵守した運営体制を構築しましょう。
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