この度厚生労働省が無許可の宿泊サブスクリプションービスは旅館業法に抵触する、つまり、宿泊サブスクリプションサービス=旅館業であると判断されました。
これは、厚生労働省に対して「グレーゾーン解消制度・新事業特例制度」により回答を求められたもので、2021.8.17に正式に回答されています。
宿泊サブスクリプションービス とは何か?
サブスクリプションサービスとは、例えば月額などの定額で使い放題のようなサービスをいい、カーリースや定額制の携帯電話サービスなどがこれにあたるでしょう。
宿泊サブスクリプションサービスとは、会員制の別荘やホテルチェーンなどの定額利用(または、会費+都度利用料)のように、一定額で宿泊施設を利用できるサービスをいい、テレワークの普及などの社会構造の変化を受けて、近年増加しています。
宿泊サブスクの問題点
宿泊施設としての法律上の許認可を受けて運営される施設を利用する場合は、何ら問題はありませんが、近年、旅館業法などの許可を経ずにアパートやマンション、個人宅などをサブスクリプション契約や都度払いで貸出し、賃貸住宅と宿泊施設の中間のような利用方法を宿泊サブスクと称して営業している業者も存在します。
これは、数年前に問題となった無許可民泊と同様で、旅館業法に抵触する可能性があり、この度、法的な取り扱いの判断を求めても、厚労省に照会がなされたということです。
※ちなみに、日本における宿泊業は、以下の3つの法律で規定されています。
形態 | 根拠法 | |
ホテルや旅館 | ホテルや旅館、簡易宿所、下宿などの従来からある宿泊サービス。 営業には管轄自治体の営業許可が必要です。 | 旅館業法 |
民泊 | 1年のうち一定期間を宿泊サービスとして貸し出せる制度で、2016年に新法が施行されました。 届出を行うことで営業できます。 | 住宅宿泊事業法 |
民泊特区(特区民泊) | 一定の経済特区の中で認可を受ければ宿泊事業を行えるようになる制度です。 | 国家戦略特別区域法 |
厚生労働省は宿泊サブスク=旅館業であると判断
以下の通り、宿泊サブスクについては、旅館業法に抵触すると判断されました。ホテルを利用してサービスを展開している業者については、特に気にする必要はありませんが、戸建てやマンションなどの住宅を利用し運営している業者は、早期に上記3つの制度のどれかの営業許可を取得する必要があります。
https://www.mhlw.go.jp/content/000819533.pdf
ちにみに宿泊業の要件は、当サイトでも過去に紹介していますが、要するに、1泊〇〇料金を取って宿泊させる(布団やベッドに寝泊りすることですね。)と旅館業法に抵触するということになります。
旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、
「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされています。そのため、「宿泊料」(Q9参照)を徴収しない場合は旅館業法の適用は受けません。
なお、旅館業がアパート等の貸室業と違う点は、
(1)施設の管理・経営形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められること
(2)施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないこととなります。
厚労省のQ&Aを参照
許可を取得して、ライバルに差を付けよう!!
厚生労働省が宿はサブスクに「NO」と言っている以上、選択肢は、撤退か許可を取得して継続の2択ということになります。※放置はやめましょう….
通常、管轄の厚労省が判断すると、正式に通知文書を各自治体に発出する可能性も高く、そうなると、各自治体が立ち入り調査を行う可能性があります。
中央省庁が一斉調査を示唆することもありますので、無許可で営業している業者は、この機会にぜひとも旅館業や住宅宿泊事業の許可を検討されてはと思います。
●お問い合わせ
当事務所は、民泊黎明期から宿泊サービスに特化したサービスを展開しておりますので、詳細はお問い合わせください。
コメント