民泊や旅館業などの宿泊施設のごみについて

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民泊でのゴミ処理については、日本の「廃棄物処理法」(昭和45年法律第137号 廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に基づき、適切な方法で処理することが求められます。

旅館業はもちろんですが、事業として行う民泊(住宅宿泊事業や特区民泊)は、一般家庭でのゴミ出しルールとは異なり、基本的には事業系ごみに該当します。自治体の対応や廃棄物処理法との関係を理解することは、民泊などの宿泊施設を運営するために重要で、今回は、宿泊施設における事業系ごみの処理について解説いたします。

廃棄物処理法と民泊

「廃棄物処理法」は、廃棄物の適正な処理を規定する法律で、一般廃棄物(家庭ゴミ)産業廃棄物などの処理方法を定めています。民泊では、ゴミが「家庭ゴミ」扱いされる場合と、「事業系一般廃棄物」扱いされる場合があり、これによって処理方法や費用が異なります。

廃棄物処理法上のごみの分類

宿泊施設のごみのような事業系ごみは「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2つに分類されますが、経済活動を伴わない廃棄物は一般廃棄物、経済活動を伴い排出された廃棄物のうち法令に定められたものは産業廃棄物、それ以外は事業系一般廃棄物として扱われます。

※廃棄物の分類

  1. 産業廃棄物:経済活動に伴い生じた廃棄物のうち、法令で定めた12種類の廃棄物と特定の業種により排出された7種類の廃棄物、産業廃棄物を処理するために処理したものをいいます。
  2. 事業系一般廃棄物:経済活動に伴い生じた廃棄物のうち、産業廃棄物を除く廃棄物です。
  3. 一般廃棄物:経済活動を伴わない廃棄物は一般廃棄物、いわゆる家庭ごみがこれに該当します。

民泊におけるゴミの分類

  1. 家庭ごみとして扱われる場合
    小規模な民泊、特に個人が自宅の一部を貸し出すような形態では、ごみが通常の家庭ごみとして処理されることが多いです。この場合、自治体が定めるごみの分別や収集のルールに従い、指定された日にごみを出すことが求められます。
  2. 事業系一般廃棄物として扱われる場合
    民泊が商業的な宿泊施設として取り扱れる場合(旅館業、特区民泊、家主不在型の住宅宿泊事業など)、ごみは「事業系一般廃棄物」として処理される必要があります。事業系ごみは、先に述べたように「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2つに分類されますが、旅館業や民泊施設からのごみは、原則として「事業系一般廃棄物」に分類される自治体がほとんどです。通常の家庭ごみとは異なり、事業者が自ら処理費用を負担し、自治体や民間業者に依頼して回収・処理してもらうことが一般的です。
    • 事業系一般廃棄物には、例えば清掃の際に発生するごみや、提供するサービスに関連するごみが含まれます。
    • 収集運搬の依頼:ごみの回収は、自治体が定めた業者や許可を受けた「一般廃棄物収集運搬強者」に依頼することが必要です。自治体が回収を行わない場合もあるため、事前に確認が必要です。

自治体の対応とルール

民泊や旅館業に関するごみの処理方法は、自治体ごとに異なるため、民泊施設を運営する際は必ず自治体のルールを確認する必要があります。

事業系一般ごみの処理方法は、各地域や自治体によって異なりますが、一般的なプロセスとルールがあります。以下はその概要です:

事業者の責任

事業系ごみ(産業廃棄物を除く)は、事業者が自ら適切に処理する責任があります。一般家庭のごみとは異なり、自治体による収集サービスを利用できないことが多いので、事業者が自分で処理の手配をしなければなりません。

もちろん家庭ごみ同様、分別を徹底する必要がありまが、家庭ごみと異なる点は、ごみ収集業者に委託しなければならないという点です。

ごみ処理業者への委託

事業者は、自治体に許可された一般廃棄物収集運搬業者または廃棄物処理業者に処理を委託する必要があります。契約を結び、定期的にごみを収集してもらう形が一般的です。

一般廃棄物収集運搬業者

  • 役割:一般廃棄物収集運搬業者は、ごみを収集して運搬することが主な業務です。自治体からの許可を得て、特定の区域内で事業系ごみや家庭ごみを運びます。収集されたごみは、適切な処理施設(焼却場やリサイクルセンターなど)に運ばれます。
  • 民泊や旅館業での役割:例えば、民泊運営中に発生する一般ごみ(可燃ごみ、不燃ごみ、リサイクル可能ごみなど)を、定期的にこの業者が収集し、指定の処理施設まで運搬します。民泊では一般家庭に比べて多くのごみが発生するため、自治体のルールに従い、専用の業者に依頼することが必要です。

自治体の指定施設へ持ち込むことができる場合

一部自治体では、事業系一般ごみを直接指定のごみ処理施設に持ち込む、又は、専用のシール(有料ごみ処理券)を購入し、自治体の収集に出すことができる場合もあります。この場合、持ち込み手数料がかかったり、ごみ処理券の購入費用が掛かることが通常です。

自治体に直接持ち込めるかどうかは、各自治体により異なります。例えば、民泊以外の業者では持ち込みやごみ処理券の購入が可能であっても、渋谷区のように、民泊のごみの受け入れを禁止している自治体もあります。

9.住宅宿泊事業に伴う廃棄物の処理について(区条例第 4 条第 2 項、区規則第 4 条)
事業者は、事業の実施に伴い生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければなりません(区条例第 4 条第 2 項)。事業に起因して発生したごみは、許可を受けた民間のごみ処理業者に処理を依頼し、事業者が自らの責任において事業系一般廃棄物若しくは事業系産業廃棄物として適正に処理してください。また、渋谷区では事業を営もうとする住宅の周辺地域の住民や町会に対する事前周知事項として、廃棄物処理方法、委託廃棄物処理業者名及び連絡先を定めています(区規則第 5 条)。

渋谷区 住宅宿泊事業(民泊)届出に関する案内と事業者の業務 よの抜粋 https://files.city.shibuya.tokyo.jp/assets/12995aba8b194961be709ba879857f70/06a8796ad9e2465a929a9aa3ced981ee/minpaku_tebiki.pdf

ごみ処理費用

事業系ごみの処理には費用がかかります。これには、収集運搬費、処理費用、またはリサイクル費用などが含まれます。料金は、事業の規模や地域、処理方法によって異なります。

自治体に直接処理を委託する場合(有料ごみ処理券や持ち込み)は、自治体で価格が公表されていますが、民間の一般廃棄物収集運搬業者または廃棄物処理業者と契約する場合は、個々の事業者、契約内容に価格は様々です。

適切な処理が重要 わからない場合は当事務所までお問い合わせください

民泊運営において、ゴミの適切な処理は非常に重要な課題です。廃棄物処理法に従い、特に「事業系一般廃棄物」として扱われる場合、自治体や専門業者と連携して適正に処理することが求められます。

法律、条令に基づいて適切に処理されていない場合、罰則が科される可能性があ、特に、廃棄物処理法に違反すると高額な罰金や営業停止、許可の取り消しなどの行政処分が取られることがあります。自治体のウェブサイトや廃棄物処理業者に確認することをお勧めします。

当事務所では、ごみの処理でお困りの際には、ごみ処理業者の選定方法、自治体との契約など、民泊や旅館業のごみについても、提携事業者とともに積極的に相談、コンサルのご依頼を受けております

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