2017.3.10民泊新法案が閣議決定されました。
したがって、内閣提出の法案として、今国会に提出、審議されることとなります。
新法の内容については、前回、詳細に解説しましたので、こちらをご覧ください。⇒「民泊新法→住宅宿泊事業法(仮称)3月通常国会提出へ」
民泊新法=住宅宿泊事業法のポイント
↓以下観光庁HPより
つまり、
❶民泊を営業する場合は都道府県(保健所のある市・特別区)などへの届出が必要
❷代行業者については登録制(国土交通大臣の登録、5年更新)
❸Airbnb(エアビーアンドビー)などの仲介サイトは観光庁への登録が必要(5年更新)
❹新法の民泊は「あくまで住宅」。したがって、宿泊させるのは年の半分以下である180日を上限とする。自治体は条例で営業を認める日数や区域を制限できる。
つまり、宿主を届出制にして自治体の、代行業と仲介業を登録制にして国の監督下に置くということになります。
※法案のリンクはこちら(観光庁)
※閣議決定のNEWSはこちら
●NHK
2017.3.7閣議決定「旅館業法改正案」について
さて、これに伴い、旅館業法にいても同時に改正が予定されていますが、本気で民泊の許可=旅館業法の許可を取りたい事業者にとっては、むしろ、こちらの方が、重要かもしれません。
69年ぶりとなる旅館業法の改正案は既に国会に提出されています。
以下厚生労働省のHPリンクを掲載します。
旅館業法の一部を改正する法律案(平成29年3月7日提出)3月7日
旅館業法の一部を改正する法律案の概要
改正の内容と解説です。
↓動画でご覧になりたい方はこちら
1.ホテル営業及び旅館営業の営業種別の旅館・ホテル営業への統合
ホテル営業及び旅館営業の営業種別を統合し、「旅館・ホテル営業」となります。
解説:現行法の旅館とホテルの違いは、和式様式の別、部屋の数や広さなどですが、実質的に小規模ホテルは旅館として許可を取っているのが現状であり、統合することにより現実に法を合わせる形となります。
2.違法な民泊サービスの広がり等を踏まえた無許可営業者等に対する規制の強化
(1) 無許可営業者に対する都道府県知事等による報告徴収及び立入検査等の権限規定の措置を講ずる。
(2) 無許可営業者等に対する罰金の上限額を3万円から100万円に、その他旅館業法に違反した者に対する罰金の上限額を
2万円から50万円に引き上げる。
解説:
(1)立入調査権は現在「許可業者」に対してのみ保健所が持つています。それ以外は、実質的には指導のみか、直接警察権が介入(つまり検挙されるということですね。)ということなのですが、改正により、管轄保健所の権限が強化されます。
(2)罰金は、無許可営業3万では実質的な抑止力となっていないため、100万円に大幅に引き上げられます。
なお、民泊新法の無届営業や違反行為については、住宅宿泊事業法案には事業者(ホスト)を罰する規定はありませんから、「旅館業法違反」として、こちらの罰則が適用されるということです。
3.その他所要の措置
旅館業の欠格要件に暴力団排除規定等を追加
施行期日
公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日
解説:民泊新法の施行(施行日とは法律が効力を発生する日です。)とあわせて、又は先行して施行されるのではないでしょうか。
追記:2017.6.16
今通常国会において、違法民泊への罰則強化を狙いとする政府提出の旅館業法改正案などが審議時間が確保できず、成立は次の国会以降に持ち越しになりました。
今国会は、法案を審議するはずの衆議院内閣委員会は、学校法人加計学園(岡山市)の獣医学部新設を巡る質疑の審議のため、同法のように与野党が一致している法案にもかかわらず、最終的に審議時間が足りず、時間切れとなったのです。
以上、旅館業法の改正について紹介しましたが、
今後は、民泊のマーケットは、
1.本気で事業として行う事業者→旅館業法上の許可(簡易宿所や旅館、ホテルなど)を取得
2.副業や賃貸管理(空き部屋対策)の一環→民泊新法を利用
というように二分化されるように思われます。法制化されると、民泊ビジネスは、ほぼ宿泊事業のカテゴリーに包含されることとなりますが、事業者数が無尽蔵に増えて、過当競争にならないよう行政のハンドリングは難しいところです。
15年前のタクシー規制緩和(※過去記事はこちら「規制緩和の功罪 タクシーの規制緩和から民泊を考える」)の二の舞にならないことを祈ります。
※次回は、旅館業法改正案の解説を行います。
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