食料自給率は、国内の食料消費が、国内の食料生産でどの程度賄えるかを示す指標です。分子を国内生産、分母を国内消費仕向として計算されます。 大きく分けると、食料自給率には3種類の計算方法があります。それは、
- 食料の消費カロリーで計算する方法・・・カロリーベース
- 重量で計算する方法・・・重量ベース
- 生産金額で計算する方法・・・生産額ベース
です。
計算式は、
- カロリーベース 1人(1日)当たりの国産供給熱量 kcal /1人(1日)当たりの供給熱量 kcal
- 重量ベース 国内生産量/国内消費仕向量
- 生産額ベース 食料国内生産額(円)/ 国内消費仕向量 (円)
※動画でご覧いただきたい方はこちらです。
農水省の統計では、カロリーベース、生産額ベースが公表されていますが、カロリーベースが最も少ない数値となり、報道などで自給率が4割を切ったというのは、カロリーベースのことを言っているのが大半です。
しかし、世界的に潮流としては、カロリーベースで自給率をとらえるのは一般的ではなく、むしろ重量ベースで自給率を議論すべきですが、公表データは、日本ではカロリーと生産額しか公表されていませんが、生産額ベースと同等(ニアイコール)の数値とみるのが一般的で、60%程度で飼料用の作物の自給率を勘案しなければ、もう少し高いかもしれません。
➡カロリーべースの自給率計算は低い!!重量ベースで考えるのが妥当!!ただし、日本の農作物全体の公表データは見当たらないので、類似の「生産額ベース」で考えよう。そうすると自給率は7割近い!!
本当の自給率|重量ベースの自給率は?
ずばり、重量ベースの自給率の公表値はありませんが、1人あたりの重量(Kg)の個別のデータは以下の通り公表されています。
これによると、穀類(ほぼ米ですね)と野菜は100%を超えていいて、牛乳乳製品も100に近い数値で、国際的にみてもそれほど悪い数値ではないのですが、アメリカやカナダ、オーストラリアなどの輸出大国と比べると、低く感じますが、
下表にないような国と比較するとそれほど悪い数値ではなく、カロリーベースで自給率を引き下げている要因は、高カロリーな食品、特に肉類の自給率が低いことと、牛や豚のえさに次用された家畜のえさである「輸入飼料」分を計算に換算しているためではないでしょうか?
輸入飼料を食べた畜産物の自給率は下がる
農林水産省によると、 2018年度の肉類の自給率は、
重量ベースで
- 牛肉の自給率は36%
- 豚肉が48%
- 鶏肉が64%
肉類全体で51%となっています。
これを飼料自給率を勘案すると、
- 牛肉の自給率は10%
- 豚肉は6%
- 鶏肉は8%
肉類全体では7%と、重量ベースで考えると、例えば豚肉の自給率は5割なのに、飼料を勘案すると自給率は1割にも満たないことになっていて、数値の上では極端に少なくなってしまい、統計のマジックともいえるでしょう。
言い換えれば、外国産のえさで育った畜産物は統計上寄与していないことになり、実際に食卓で食べている食品やスーパーで販売されている食品は、統計数値よりも国産の割合が多いにも関わらず、事実がゆがめられて伝えられているかのように見えますね。
通常、スーパーでは国産と外国産の肉類は半々ぐらいで陳列されていますが、このことからも重量や金額で考えることが合理的だということがわかると思います。
食料自給率まとめ|カロリーベースだけで考えないで!!
食料自給率には、カロリー、重量、生産額という3つの計算方法があり、日本は最も数値が低く出るカロリーベースが支配的
家畜畜産物を育てる飼料についても計算に組み込むことにより、外国産飼料をたくさん接種している畜産物の自給率が計算上低くなる。
比較対象の国に農業輸出国が多い
※金額(生産額)ベースで比較するとイギリスを超えていますが、このように農業大国とカロリーベースで比較する意味は何なのでしょうか?意図的に自給率を過小に見せているかのように見えますが。生産額ベースで66%という自給率は、山だらけで平野部が少ない国土の国としては、かなり立派な数値だと思いますが…
なお、様々な問題がありますが、食品、農業関係者は、表面上の情報に左右されず、重量ベースで合理的に判断してほしいと思います。農業関係者、行政関係者でさえ、カロリーベースの統計を信じているように思いますので、是非とも生データを見て、各自分析していただければと思います。
したがって、日本の農業は、重量や金額では、国内食料の6割~7割のシェアを誇り、米や野菜、乳製品については、生産調整している側面もあり、実際には、余剰生産能力があるともいえます。
つまり、農業はまったくもって衰退産業ではなく、日本の重要な産業で、農業や漁業などの食に関係する第一次産業は不況時にはある意味、最強ともいえます。
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