民泊は旅館業の許可だけではない!

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「民泊をやりたいので旅館業法の許可がとりたい」、「旅館業法の許可を取るので、どのような設備を増設すればよいのか?」などというお問合せが多いのですが、民泊は旅館業の許可だけではありません。

詳しく調べられている方は、「100㎡を超えると用途変更の確認申請が必要」ということをご存知の方もおおいのですが、今回の内容は、お客様からのお問合せが多く、勘違いされている方も非常に多いので、旅館業法許可とともに重要な法制度(併せて必要な許認可や法令の規制)について概要を記載します。

1旅館業法の許可

まず最初に最も重要なのは、旅館業法の営業許可ですが、旅館業法には、ホテル、旅館、簡易宿所、下宿の4つの営業形態あります。

許可権者は、都道府県知事又は市町村長(保健所のある自治体)ですが、窓口は、各保健所となります。

1.1 旅館業法に基づくホテル、旅館、簡易宿所の営業許可(自治体保健所の許可要件と規制)

:旅館業法、同施行令、同施行規則、設備構造の基準、各自治体旅館業法施行条例、同施行規則、ガイドラインその他運用基準等を含みます。

旅館業法と民泊

 ※以下、民泊サービスと旅館業法に関するQ&A(厚生労働省)に【旅館業】に関する定義等が記載されていますのでご紹介します。

 厚生労働省ホームページで、平成28年4月1日付けの「民泊サービスと旅館業法に関するQ&A」を以下のとおり紹介していますので、御参照ください。

Q1 旅館業とはどのようなものですか。

 A1 旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされています。そのため、「宿泊料」(Q9参照)を徴収しない場合は旅館業法の適用は受けません。 なお、旅館業がアパート等の貸室業と違う点は、
(1)施設の管理・経営形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められること
(2)施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないこととなります。

Q2 旅館業の許可には、どういった種類のものがありますか。

 A2 旅館業法では、旅館業を次の4つに分類しています。
(1)ホテル営業:洋式の構造及び設備を主とする施設で人を宿泊させる営業
 →コメント:2017.5現在、旅館業法改正案が国会に提出されていますが、ホテルと旅館は統合され、「旅館・ホテル営業」となる見込みです。
(2)旅館営業:和式の構造及び設備を主とする施設で人を宿泊させる営業
(3)簡易宿所営業:宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設で人を宿泊させる営業
(4)下宿営業:施設を設け、1月以上の期間を単位として人を宿泊させる営業

Q3 「民泊サービス」とは、どのようなものですか。

 A3 法令上の定めはありませんが、住宅(戸建住宅、共同住宅等)の全部又は一部を活用して宿泊サービスを提供することを指して、「民泊サービス」ということが一般的です。
→コメント:2017.5現在、新たに民泊サービスを法制化するため「住宅宿泊事業法(案)」が国会に提出されています。

Q4 個人が自宅の一部を利用して人を宿泊させる場合は、旅館業法上の許可が必要ですか。

 A4 個人が自宅や空き家の一部を利用して行う場合(民泊サービス)であっても、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に当たる場合(Q1参照)には、旅館業法上の許可が必要です。

 

1.2旅館業法上の許可の取得 ポイント

1.2.1用途地域は適切か?

市街化区域の場合、

❶住居専用地域、工業地域、工業専用地域、工業地域は不可!

※ただし、条例により緩和又は強化されている自治体もあります。

❷自治体が設定した特別用途地域や地区計画などの規制に抵触しないか?

❸その他、建築協定、景観法等の規制がないか?

などをお考え下さい。

1.2.2建築確認申請(用途変更の申請)が必要か?

→100㎡超の面積を宿にする場合、申請が必要

→営業に供する面積は100㎡超か?

→部分的に宿にするのであれば、区画可能か?→1階と2階は別の入口など

  • 建築確認が必要な場合は

❶建物が適法に建設された証明はあるか?

・建築確認申請、同検査済み証の有無

・建ぺい率、容積率の違反がないか?(緩和を受けて建設された住宅、違法に増築した建物などは注意)

❷物理的に工事可能か?

・例えば、事務所や住宅からホテル・旅館の規格に変更する場合、壁、階段、防火関係などの建築基準法で規定された規格基準に適合可能か?

2建物(建築物)としての許可要件と規制

旅館業法以外にも、建物ですから、様々な規制がかかっていますので、以下に代表的な法令の規制をご紹介します。主に建築関係なのですが、衛生関係は旅館業法同様保健所管轄のものも多くあります。

お客様や周辺住民の安全確保のため様々な許認可、届出が存在します。

①建築基準法・・・Ex.設備・構造・規格etc…

②都市計画法・・・Ex.用途地域による建築物の用途制限、特別用途地域etc…

③消防関係法令・・・自動火災報知設備、誘導灯設置、消防法による防火地域や特定防火対象物の規制等etc…

自動火災報知設備(ホテル旅館業・民泊許可) 旅館業・民泊と消防法❶
自動火災報知設備自動火災報知設備とは、火災による煙や熱を感知器が早期に自動的に感知して、警報ベルなどで、建物内の人達に火災を知らせる設備です。つまり、感知器と警報機が一体となり、連動して建物全体に警報を通知できるようなユニットになった火災報

④衛生関係法令・・・食品衛生法、浄化槽法、水道法、温泉法、公衆浴場法etc…

旅館業許可の付随許可1 (飲食店営業許可)
1 レストランや食堂は、旅館業法の許可とは別に"食品営業許可"食品を扱う営業については、食品衛生法に基づき許可が必要で、保健所のある各自治体ごとに許可基準が定められています(原則は都道府県、保健所のある場合は市など)。※旅館やホ...

⑤自治体の条例・・・法律に基づく各自治体の条例の規制

※法律には、法律に基づく政令、規則、条例、ガイドラインなどを含みますので、法律の条文だけ読んでも、具体的なことはわかりません。

具体的には、自治体の規則やガイドライン、明文化されていない運用なども全て勘案する必要がありますので、本当に営業許可の取得をお考えの場合は、当事務所は、実際に役所調査を行いご回答をいたしますので、税ご相談ください(法令、条例等の情報からだけでも、許可取得の有無を回答するサービスもご用意しております)

※民泊新法(案)についてはこちら


※旅館業法改正(案)はこちら

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