種苗法とは?|品種登録制度

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種苗法とは、農作物の品種登録に関する法律 1998年5月29日に公布されました。 植物の新たな品種(花や農産物(野菜、果樹)等)の創作をした者は、品種登録することで、植物の新品種を育成する権利(育成者権)を独占的に有することができるようになります。※前身は農産種苗法

今回は、憶測や、やや恣意的な解説などがあふれていますので、法律条文や国の解説をに即し記載します。

種苗法の対象

種苗法の品種登録制度は、新らしい品種を開発したものに独占的な権利を付与し、その新品種を保護するものです。

新品種とは新たに開発された品種のことなので、既存の品種(その地方の在来種、土着の品種) は除かれます。

種苗法の保護対象

法の要件としては、「区別性、均一性、安定性、未譲渡性」が求められ、従来からある在来種や固定種は対象外で、つまり在来種は、自由に種を取ることができますが、新品種については、保護対象になるため、薬の特許権のような権利が付与され、自由に種を増やしたり、接ぎ木などでの増殖が制限されたりします。つまり育成者(開発者)保護のための法律です。

要するに、登録による種苗メーカーや自治体などが開発した品種の保護規定がかかれた法律で、一般的に「品種登録制度」と呼ばれています。

前記の4つの要件を解説すると以下のようになります。

  • 区別性: 既存品種と特性(形状、品質)明確に区別できる特性
  • 均一性: 同一世代で特性が十分に類似していること→種子から全て同じものができる
  • 安定性: 繁殖後も特性の全部が変化しないこと→何世代増殖を繰り返しても同じもの
  • 未譲渡性: 出願日から1年遡った日より前に、譲渡していない(外国での譲渡は、日本での出願日から4年(木本の植物は6年)遡った日→つまり、現在、既に韓国や中国に流出してしまっているシャインマスカットやミカンなどは出願期限切れで保護できない)
  • その他 名称の適切性:既存品種や登録商標と類似ではない

品種登録されているものの規制は?

品種登録されているものについては、

作物として出荷・販売:当然ですが、苗を購入したりして収穫し販売することは全く問題ありません。

×種や苗などを販売・出荷:収穫後種を取り出荷、又種を発芽させて出荷することはできません。

×・▲自家増殖:次の年植えて作物や花卉を収穫るために自家増殖・自家採取するのは原則可。ただし、一定の作物については不可(例外品目は不可(増加しています))

品種登録されていないものは?| その地方の在来種、土着の品種

特に規制はありません。自由に種を取り繁殖できます。

おそらく、品種登録品目が増加し、例外が増えたことで、かつてに種も取れなくなり、農業を外資に売り渡したとの誤解が生じていますが、原種やF1種子の多くは、次の年も利用可能ということです。

登録品目の割合

農林水産所のデータを紹介しますが、年々登録が増えています。

しかしながら、品種登録については、かなり偏りがあり、草花や鑑賞樹などの食用以外のものが75%以上を占めており、実際に食べるための野菜、果樹などの割合は低くくなつています。これは、農作物の増殖の方法がカギです。

種子繁殖植物、栄養繁殖植物での品種登録の違い

農業で取り扱う植物には大きく分けて2つの増殖方法がありますが「種子繁殖」と「栄養繁殖」という2つの増殖の方法があります。

種子繁殖:種子繁殖とは交配し実を付けた作物から種を取る方法です。

栄養繁殖:栄養繁殖とは、種子等を経由せずに根・茎・葉などの栄養器官から、繁殖する無性生殖で、簡単に言うと、木の枝等を切って挿し木にすると成長してまた樹木になる、又は、ジャガイモの切れ端から目が出でまたジャガイモとして成長するなど、挿し木などでクローンを作ることです。

なお、両者のうち、品種登録のメインは栄養繁殖の作物で、これは、植物の細胞のかけら簡単に増殖が可能なためです。

一方、種子繁殖の作物については、登録はあまり多くありません。その理由は、大半の作物の種がF1(雑種第一代、エフワン、フーミュラワン)であり、異なる品種を掛け合わせて、遺伝的に強い部分を引き出しています。専門的なことは割愛しますが、これを雑種強勢 (ヘテロシス )といい、人間などの哺乳類でも、 人種や国籍が異なるなど、遺伝的に遠い両親から生まれた子は、両親より大きく、そして丈夫になるケースが多く、両親の遺伝的形質が遠く離れていればいるほど、顕著に現れます。逆に遺伝子が近い近親交配だと、遺伝的に弱い病気などの形質が具現化する場合が多くなります。

F1で顕著な雑種強勢は、F2世代(雑種第2世代。つまりF1次の世代)では、その傾向は急速に弱まり、植物の場合、その均質性はほぼ失われます(雑種強勢があったりなかったり)。したがって、品種登録しなくてもF1の種子から有効なF2世代の種子を採取できないので、特段問題ないので、登録がない場合が多く、野菜に登録が少ないのもこうした理由でしょう。

品種登録には有効期限がある

種苗法の品種登録には期限があり、通常25年で権利(育成権)が切れます(樹木は30年です)。これは特許法と類似しており、丁度、四薬品のジェネリックのような取り扱いになり 、期限が切れた品種については、自由に利用することができます。

年間登録料

登録が継続には、年間登録料を支払い、権利を存続させる必要があります。金額は下記の通りですが払わないと、登録はなくなり、育成権は消滅します。

1年から3年各年6,000円
4年から6年各年9,000円
7年から9年各年18,000円
10年から30年各年36,000円

海外の品種登録

なお、種苗法については、国内法のため、海外ではまた別の取扱いがあります。ユポフ条約(UPOV条約)という国際条約があり、海外で品種登録する場合は、4年以内(果樹などの樹木などでは6年以内の出願)に出願することが認められています。

なお、すべての国が加盟している訳ではなく、加盟国でも取り扱いが異なり、日本から申請できない場合も多いのでご注意ごください。日本、中国、韓国は何れも条約批准国ですが、内容は以下のとおりです。

  • 日本:全植物が保護対象
  • 中国:139品目が保護対象(小豆、いぐさ等対象外)
  • 韓国:189品目が保護対象(いちご、ミカン等対象外)

有名なシャインマスカットですが、折角開発したにもかかわらず、海外での品種登録出願を怠ったため、今や韓国などで、盗用されたものが栽培されています。その他、韓国のミカンの事例もあり、これは盗用した国はもちろんのこと、国内の開発者や日本政府や自治体も含め、大きな責任があるでしょう。

種苗法関係法令リンク

[1] 種苗法(PDF:292KB)

[2] 種苗法施行令(PDF:82KB)

[3] 種苗法施行規則(平成19年12月1日施行版)(PDF:141KB)

[4] 種苗法の規定に基づき指定種苗を定める等の件(PDF:63KB)

[5] 指定種苗品種特徴表示基準(PDF:231KB)

[6] 指定種苗の生産等に関する基準(PDF:132KB)

[7] 種苗法施行規則の規定に基づく農林水産大臣の指定する有害菌類(PDF:4KB)

[8] 種苗法施行規則の規定に基づき発芽率の表示の方法等を定める件(PDF:13KB)

(目的) 第一条 この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。 (定義等) 第二条 この法律において「農林水産植物」とは、農産物、林産物及び水産物の生産のために栽培される種子植物、しだ類、せんたい類、多細胞の藻類その他政令で定める植物をいい、「植物体」とは、農林水産植物の個体をいう。

2 この法律において「品種」とは、重要な形質に係る特性(以下単に「特性」という。)の全部又は一部によって他の植物体の集合と区別することができ、かつ、その特性の全部を保持しつつ繁殖させることができる一の植物体の集合をいう。

3 この法律において「種苗」とは、植物体の全部又は一部で繁殖の用に供されるものをいう。

4 この法律において「加工品」とは、種苗を用いることにより得られる収穫物から直接に生産される加工品であって政令で定めるものをいう。

5 この法律において品種について「利用」とは、次に掲げる行為をいう。

 一 その品種の種苗を生産し、調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為

 二 その品種の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)

 三 その品種の加工品を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前二号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)

6 この法律において「指定種苗」とは、種苗(林業の用に供される樹木の種苗を除く。)のうち、種子、胞子、茎、根、苗、苗木、穂木、台木、種菌その他政令で定めるもので品質の識別を容易にするため販売に際して一定の事項を表示する必要があるものとして農林水産大臣が指定するものをいい、「種苗業者」とは、指定種苗の販売を業とする者をいう。

7 農林水産大臣は、農業資材審議会の意見を聴いて、農林水産植物について農林水産省令で定める区分ごとに、第二項の重要な形質を定め、これを公示するものとする。

種苗法1条抜粋

よくある種苗法関係のQ&Aとリンクページなど

Q1.品種登録出願についての国の情報、受付機関は?

A1.管轄は農林水産省です。以下の農水省ホームページをご覧ください。
農林水産省品種登録ホームページリンク

制度の概要パンフレット(品種登録制度と育成者権)農林水産省

     ➡今こそ海外出願!植物品種等海外流出防止対策コンソーシアム

Q2.農林水産業における知的財産には育成者権以外にあるの?

A2.以下のものなどがあります。

❶育成者権:新たに育種された種苗(植物の新品種など) 

❷特許権:産業上利用できる発明(肥料、農薬、技術など) EX.種無ブドウの特許、四角いスイカ成型栽培容器などが有名です。  

❸実用新案権:物品に係る産業上利用できる考案(農耕具、漁具等)  

❹意匠権:創作された物品の形状等(菓子等加工食品等の形状・色彩)

❺商標権 :商品等に付される標章➡商品、販売者の名称やマーク(例えば静岡の三ヶ日みかんなどの地域団体商標制度を利用)

❶の管轄は農水省、❷以下は通称の知的財産権なので、特許庁です。


※次回は種苗法登録手続きについての解説です。

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