住宅宿泊事業者の届出事項等の解説 (民泊新法解説3)消防設備

住宅宿泊事業法(民泊新法)において、住宅については、建築基準法等の建築関係法令上は、住宅をそのまま利用することかでき、営業面積が旅館業法のように、100㎡を超えたとしても、用途変更の申請手続き等は必要ではありません(建築基準法上の用途は変わりません。)。

1.届出住宅の消防法上の取扱い

しかし、届出住宅等に係る消防法令上の取扱いについては必ずしもそうではなく、一定の規模を超える場合などは、ホテル、旅館などの宿泊施設と同様に取り扱う旨の通知が、平成29年10月に消防庁から発出されています。

1.1 消防庁の通知

通知の内容としては、

第1届出住宅の消防法令上の取扱いについて
届出住宅については、消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)別表第1(5)項イに掲げる防火対象物(旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの)又はその部分として取り扱うものとする。
ただし、人を宿泊させる間、住宅宿泊事業者(法第2条第4項に規定する住宅宿泊事業者をいう。以下同じ。)が不在とならない旨(規則第4条第3項第10号に規定する旨をいう。)の届出が行われた届出住宅については、宿泊室(届出住宅のうち規則第4条第4項第1号チ(4)に規定する宿泊者の就寝の用に供する室をいう。)の床面積の合計が50平方メートル以下となるときは、当該届出住宅は、住宅(消防法(昭和23年法律第186号)第9条の2に規定する住宅の用途に供される防火対象物(令別表第1(5)項ロに掲げる防火対象物(寄宿舎、下宿又は共同住宅)の部分を含む。)をいう。)として取り扱うものとする。

となっています。

 

つまり

☑原則として、住宅宿泊事業法(民泊新法)の住宅の消防設備は、旅館業法上の設備基準と同様

☑例外的に、家主不在型(管理業者に委託する場合)で50㎡未満の場合は、住宅として取り扱う

ということです。

 

1.2 届出住宅は、原則として消防法別表第1(5)項イの防火対象物です

なお、消防法別表第1(5)項イの防火対象物とは

・旅館
・ホテル
・宿泊所
・その他これらに類するもの
とされており、宿泊所とは、簡易宿処や特区民泊の認定施設等も含まれます。

1.3 (宿泊施設等)に必要な主な防火設備

これらに対する消防法上の規定は、消防法施行令出定められていますが、主な設備については、以下の通りです。
消防法別表別表第1(5)項イ(宿泊施設等)に必要な主な防火設備
設備根拠規定設置基準
誘導灯、誘導標識令26避難口、通路、客室、標識全部
消火器令10全部
避難器具令252階以上の階又は地階収容人数50人以上(除耐火構造の2階)
1階段で3階以上の階収容人数10名以上 ※
自動火災報知設備令21原則全部(以前は300㎡未満は不要でしたが当該緩和はなくなりました。2階以下の場合(3階以上でも要件に当てはまる場合)は特定小規模施設用(無線式)のものでよい場合もあります)
参考
消防設備関係の詳細は、以下のリンクが分かりやすいと思います。
  • 能美防災株式会社様 https://www.nohmi.co.jp/product/building/knowledge_information/lows/005.html
  • 株式会社ミナカミ様  http://www.minakami.co.jp/setubi/setubi-top.htm
  • 消防用設備 Wikipedia  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B6%88%E9%98%B2%E7%94%A8%E8%A8%AD%E5%82%99

 

つまり、50㎡超の民泊施設(住宅宿泊事業)については、自火報の設置などが義務付けられますので、防災工事が必要となります。
なお、住宅宿泊事業の申請には、消防法令適合通知書の添付が必要となり、
その場合、消防署に対して、
  • 消防設備の設置届
  • 消防設備の使用開始届
等が必要となり、設備が設置されていない場合は、工事が必要となります。
消防設備については、消防設備士(甲種)の死角が必要となり、一般の工務店では施工ができない場合がありますのでご注意ください。

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