空家対策特別措置法 |空家法
正式には「空家等対策の推進に関する特別措置法( 平成26年法律第百二十七号)」 という名称ですが、空家法とか空家対策特別措置法などど呼ばれています。空家対策のための新法です。
具体的には、自治体が「特定空家」を指定することにより、民法に優先して、行政権限の行使を可能とし、最終的には、罰金や行政代執行を行うことが可能です。 特に問題となつている、放置された崩れかけの空家を行政権限により解体し、費用を所有者や相続人に請求可能となりました。 これまでは、指導しかできず、近隣の住民に被害が出る事例が沢山あり、特に建物の倒壊や、土壌の流出などが問題になっていました。
空き家対策特別措置法3つのポイント!!
- 特定空き家に指定➡固定資産税が増加(優遇がなくなる)➡固定資産税の優遇がなくなる。
- 空き家所有者に対して行政からの勧告、命令が可能に
- 行政代執行により所有者に代わって空き家解体可能に
なぜ空家のままなのか?減税措置の弊害?
住宅用に課税される固定資産税と都市計画税は、「住宅用地の軽減措置特例」が適用されることで、減税されます。上記の表を見ていただければわかりますが、更地には減税がなく、建物の用地となることで、1/6、1/3の減税措置が行われるのです。空家にこの減税が適用されるため、ボロボロになつても更地にしないのです。
また、建替えると、今度は建物の価値が上昇するため、結果的に税金の支払額が増えるので、これも行われず、とりあえずは放置されているのです。
住宅用地の固定資産税
住宅用地(建物が建ている土地(底地))には固定資産税と都市計画税が課税されてます。空き家も次宇卓なので同様です。固定資産税は、1月1日に所有している所有者に課され、自治体の定めた期日までに支払います。
なお、建物については、自治体が建物価格評価し課税します。
住宅用地の固定資産税と都市計画是の税率
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
更地の場合 | 課税標準額×1.4% | 課税標準額×0.3% |
敷地面積200㎡までの住宅用地 | 課税標準額×1/6×1.4% | 課税標準額×1/3×0.3% |
住宅用地で、200㎡を越える部分 | 課税標準額×1/3×1.4% | 課税標準額×2/3×0.3% |
空き家の固定資産税は誰が払うのか?
空き家にかかる固定資産税は必ず誰かが払う必要があります。通常は所有権に基づき課税されますが(通常登記名義人)、相続していない、名義変更していないなどの理由で所有者が不明の場合は、相続人(推定相続人)などに請求が来ます。
なお、現在登記名義人が死亡しても変更していない不動産は大量にあり、自治体が推定して、請求しているのが現状です。
特定空家の指定
空家を法としていると、まずは、法に基づき特定空家の指定が行われます。
特定空家とは?
特定空家とは、空家のうち、次のような条件に該当することにより、
周辺の建築物や通行人等に対し悪影響をもたらすおそれがあるために、市町村長が指定した空家を言います。
特定空家指定までの流れ
特定空家の指定、判断基準については、具体的には管轄する(不動産がある)自治体の条例により行われますが、以下の国の提示する条件に基づぎ開設すると、
※特定空家等
次の状態にあると認められる空家等をいう。1. そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
出典 相模原市 特定空家等の判断基準 http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/sumai/1007962.html
1.建築物が倒壊等する可能性が高いと認められる場合 とは、
●建築物の著しい傾斜
●建築物の構造耐力上主要な部分の損傷等
2. 著しく衛生上有害であると認められる場合
(1)建築物又は設備等の破損等が原因で、通行人等に被害が及ぶ可能性が高い(2)是正命令を行う社会的必要性
と提示されていますが、具体的には、石綿の飛散等、通行人などに被害が及ぶ状態などが想定されています。
3.著しく景観を損なっている状態
立木の産卵や、動物等が原因の被害(シロアリ、ネズミ)、雨漏り、漏水等の被害が想定されます。
特定空家に指定されたらどうなるのか?
1. 固定資産税の優遇がなくなる。
空家のある自治体から、所有者へ固定資産税等の住宅用地の特例が所がする旨の勧告を受けると、固定資産税、都市計画税の優遇措置がなくなり、
つまり、更地(駐車場などは更地と同じ)と同じ固定資産税、都市計画が課せられます。つまり税額が6倍になるということです。因みに、駐車場や住宅以外の店舗などについては最初から優遇は受けられないこととされています。
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2.是正勧告や指導を受けた場合は、従わなければ罰金の可能性があり。
最大50万円の罰金が科せられる場合があります。
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3.行政代執行による建物の強制撤去
最悪の場合、強制撤去が行われ、その代執行費用は所有者(不明な場合は相続人、推定相続人など)へ請求があります。
ここで、注目したいのが、景観を損ねるような場合も、特定空家の指定が行われる場合があるということで、見た目により、指定される余地があるということです。
特定空家指定とスキームまとめ
- 空家の所有者等の調査(空家への立入り調査や所有者の調査)
- 特定空家の指定
- 税務や関係部局への情報の提供
- 所有者へ助言・指導➡勧告➡命令 ※命令になると、書面で行う。命令違反は最大50万円の罰金
- 強制代執行 → 所有者等へ費用の徴収
特定空家に指定されないよう、空家を活用しよう
❶リフォームして資産価値を上げる
❷更地にして、不要な土地は売却する
❸駐車場、店舗、旅館業、民泊など、何か利用できないか検討する。
空家活用については、当事務所でも積極的に取り扱っております。特に、旅館業、民泊、飲食業、不動産売買に関しては、お気軽にお問合せください。
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