大阪無許可民泊に判決

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マンションで無許可民泊をしていた者に対して、管理組合からの賠償命令を求めていた裁判について、大阪地裁の判決が出ました。

結果は、管理組合側が賠償請求が認められることとなりました。請求通り弁護士費用分の50万円の支払いを命じました。

判決の要旨

●場所は大阪ミナミのマンション(15階建70室規模のマンション)

●原告は管理組合理事長

●訴えられたのは、無許可民泊を行っていた男性

→2007.12月10階の一室(3LDK)を購入し、2014.11月ごろから、2年間無許可民泊を行っていたとのことです。

 

●判決内容

①賠償命令が認められた→弁護士費用分の50万円

②部屋は、民泊サイト「エアビーアンドビー(AIRbnb)」のサイトにも掲載され、判決理由で池田聡介裁判官は「旅館業法の脱法に当たる恐れがあり、管理規約にも違反する」と指摘したそうです。

被告の男性側の主張は「管理組合側の好みで所有者の経済活動が制限されてはならない」とのことでしたが、地裁は「経済活動の範囲を逸脱している」と退けました。

③なお、営業の差し止めについては既に物件を売却していることから認められませんでした。⇒原告である管理組合に「訴えの利益」がないという判断なのでしょうか。

●賠償の法的根拠は不法行為

この裁判で重要なポイントは、「不法行為による賠償請求」ということで、「ゴミの放置」などがマンションの他の住民や管理組合に迷惑をかけたという理由です。

ちなみに不法行為とは、民法709条に規定される規定です。交通事故などの賠償請求の際によく使われる条文ですね。

第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

※今回の判決は、民泊=宿泊業を規制する旅館業法違反での裁判ではなく、あくまでも民事上の事件です。

直接的にマンションでの旅館業の無許可営業が、規約に反することを認めたようですが(判決文がネット上で見つけられていませんから詳しいことはわかりませんが)、本件が管理規約のどの部分に違反するか詳細は現在のところ確認できていません。

しかし、この判決が報道記事にあるように「規約違反」、「旅館業法違反、脱法的」と指摘とありますから、今後、共同住宅の1室で民泊を行う場合の(行政サイドを含めた)一定の指標となることは確かだと思います。

なお、今回は民事ですが、過去には、刑事事件(旅館業法違反)として摘発事例もありますから、今後、民泊新法の制定、施行に合わせて、行政側の対応がどのようになっていくのか、注視していく必要があります。

少なくとも、今後、年間フル稼働の民泊を行うのであれば、無許可のまま続けるという選択肢はありえないのではないでしょうか。

これまでの民泊関連の主な主な事件・摘発事例

●2015/12/24 京都 京都のマンション無許可民泊により3社を書類送検

2015/12/16 京都市の不動産会社が書類送検 

●2016.6  東京都 台東区で無許可⺠泊を旅館業法の許可を取得せずに営業したとして、旅館業法違反の疑いで警視庁下谷署は7月13日ハイブリッド・ファシリティーズ(東京都港区)と親会社ピクセルカンパニーズ(港区、ジャスダック上場)の2社及び、両社の役員男⼥6⼈が書類送検

5月1から21日までに外国人観光客4組を1泊4000円で繰り返し宿泊させた旅館業法違反の容疑で、役員らはいずれも容疑を認めている。警視庁によると、同じ物件で昨年5月から民泊仲介サイトでゲスト(宿泊客)を募集していたとのことで、1年間で約1300人を宿泊させ、計1323万円を売り上げていた模様。送検に先駆けて、同社は6月、民泊からの撤退を表明しています。

●2016年4⽉ 大阪 ⼤阪市で旅館業法の許可を得ずに旅⾏者を繰り返し宿泊させた疑いで、⼥性と夫婦の計3⼈が旅館業法違反で書類送検

 

●2015年11⽉ 京都 京都市右京区の賃貸マンションの44室中34室で、観光客約300⼈を無許可で宿泊させ、旅館業法違反で書類送検

 

●2014年5⽉ 東京 ⽊造3階建ての⾃宅の1、2階部分にある3部屋(24.9m2)を1泊1⼈約2,500円から5,000円で旅⾏者に提供していた英国⼈男性(28)が旅館業法違反で逮捕。略式命令(罰⾦3万円)

 

●その他 2015年7月 東京都渋谷区で22日夜、4歳の女の子がマンション12階から転落し、まもなく死亡しました。この部屋は無許可民泊として貸し出されていたようで、中国人の母親が留守にしている間、ベランダから転落して死亡したとのことです。

 

旅館業法の罰則規定

  • 第十条
    左の各号の一に該当する者は、これを六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
    一  第三条第一項の規定に違反して同条同項の規定による許可を受けないで旅館業を経営した者
    二  第八条の規定による命令に違反した者
  • 第十一条
    左の各号の一に該当する者は、これを五千円以下の罰金に処する。
    一  第五条又は第六条第一項の規定に違反した者
    二  第七条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は当該職員の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
  • 第十二条
    第六条第二項の規定に違反して同条第一項の事項を偽つて告げた者は、これを拘留又は科料に処する。
  • 第十三条
    法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第十条又は第十一条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

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