住宅宿泊事業者の届出事項等の解説 (民泊新法解説2)

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今回は、住宅宿泊事業法の「住宅宿泊事業者」について解説します。

住宅宿泊事業者の届出事項等の解説

●家屋の条件

住宅宿泊事業を実施する家屋については「届出住宅」といいますが、住宅に関する主な要件を解説いたします。

住宅の設備要件

ガイドラインには、「設備要件に関する考え方について」という事項がありますが、以下の通りです。

・ 「台所」、「浴室」、「便所」、「洗面設備」は必ずしも1棟の建物内に設けられている必要はない。同一の敷地内の建物について一体的に使用する権限があり、各建物に設けられた設備がそれぞれ使用可能な状態である場合には、これら複数棟の建物を一の「住宅」として届け出ることは差し支えない。例えば、浴室のない「離れ」について、浴室のある同一敷地内の「母屋」と併せて一つの「住宅」として届け出る場合が該当する。

  • これらの設備は、届出住宅に設けられている必要があり、届出の対象に含まれていない近隣の公衆浴場等を浴室等として代替することはできないこととする。
  •  これらの設備は必ずしも独立しているものである必要はなく、例えば、いわゆる3点ユニットバスのように、一つの設備が複数の機能(浴室、便所、洗面設備)を有している場合であっても、それぞれの設備があるとみなすこととする。
  •  これらの設備は、一般的に求められる機能を有していれば足りる。例えば浴室については、浴槽がない場合においてもシャワーがあれば足り便所については和式・洋式等の別は問わない。
風呂無し不可・・・ただし、シャワー、3点ユニット可

住宅の形態(居住の実態等の定義)

(1)住宅宿泊事業を行うことができる家屋(法第2条第1項第2号関係)

現に人の生活の本拠として使用されている家屋入居者の募集が行われている家屋,随時所有者又は賃借人の居住の用に供されている家屋
解説:ガイドラインでは、居住といえる使用履歴が一切ない民泊専用の新築投資用マンションは、これに該当しない。と記載されており、逆に、以下のような場合が、該当するとして例示されています。
(随時居住の用に供されている家屋の具体例)
・ 別荘等季節に応じて年数回程度利用している家屋
・ 休日のみ生活しているセカンドハウス
・ 転勤により一時的に生活の本拠を移しているものの、将来的に再度居住の用に供するために所有している空き家
・ 相続により所有しているが、現在は常時居住しておらず、将来的に居住の用に供することを予定している空き家
・ 生活の本拠ではないが、別宅として使用している古民家
※住宅に関する要件は、次回以降、詳細に解説いたします。

●宿泊日数のカウント

(2)人を宿泊させる日数の算定方法(法第2条第3項関係)

人を宿泊させる日数として算定した日数は,毎年4月1日正午~翌年4月1日正午までの期間において人を宿泊させた日数とし,正午~翌日の正午までの期間を1日とする。
解説:ガイドラインには、宿泊料を受けて届出住宅に人を宿泊させた実績があるのであれば、短期間であるかどうか、日付を超えているかどうかは問わず、1日と算定されると記載があります。
つまり、午後3時にチェックイン、翌日10時にチェックアウトした場合としても1日しとしてカウントされますので注意したください
誤った情報に惑わされないよう注意してください。

●申請書の添付書類

(3)届出時の添付を求める書類(法第3条第2項及び第3項関係)

住宅の図面、登記事項証明書
(届出者が所有権者であるかどうかの確認のため)
住宅が賃借物件である場合の転貸の承諾書
住宅が区分所有建物である場合には規約の写し(規約に住宅宿泊事業に関して定めがない場合は管理組合に禁止する意思がないことを確認したことを証する書面)
解説:届出の添付書類に条例への委任規定はありません。したがって、条例でこれらの書類を省略又は意図的に増やすことはできないと解されます。

●宿泊拒否は禁止されない

ガイドラインには以下の記載があり、宿泊拒否禁止規定がある旅館業法と異なると説明されています。

・ 住宅宿泊事業は旅館業と異なり宿泊拒否の制限を課しておらず宿泊の条件として、合理的な範囲で宿泊者に対し一定の要件を課しても本法に反しないただし、宿泊拒否の理由が差別的なものである場合や偏見に基づくものである場合は社会通念上、不適切となることもあるため留意することが必要である。

  • 旅館業法→宿泊拒否×
  • 住宅宿泊事業法→宿泊拒否○

●衛生管理/委託/報告等

(4)宿泊者の衛生の確保を図るための必要な措置(法第5条関係)

  1. 居室の床面積は宿泊者一人当たり3.3㎡以上を確保すること
  2. 定期的な清掃及び換気を行うこと
 (5)届出者(届出住宅)の安全確保(法第6条関係)
非常用照明器具の設置,避難経路の表示のほか,建築基準法上の宿泊施設と同等の防災対策(耐火要件,廊下幅制限,2つ以上の直通階段,内装制限)

(6)宿泊者名簿に記載する事項(法第8条第1項関係)

宿泊者の氏名,住所,職業及び宿泊日のほか,宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは,その国籍及び旅券番号

(7)周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項(法第9条第1項関係)

騒音の防止のために配慮すべき事項,ごみの処理に関し配慮すべき事項,火災の防止のために配慮すべき事項等の説明を行う。

(8)宿泊サービス提供契約の締結の代理等の委託の方法(法第12条関係)

委託しようとする仲介業者又は旅行業者に対し,住宅宿泊事業者の届出番号を通知しなければならない。

(9)住宅宿泊事業の報告(法第14条関係)

2ヶ月ごとに届出住宅に人を宿泊させた日数等を報告すること。

●条例による実施制限の基準

基本的には、実施についての区域、日数等は条例に委任されています。

ガイドラインより

<基本的な考え方>
本法は、全国的に一定のルールを作り、健全な民泊の普及を図るものであり、当該ルールの下で、住宅宿泊事業の実施を可能としている。本法の趣旨を踏まえると、住宅宿泊事業に対して、事業の実施そのものを制限するような過度な制限を課すべきではないが、生活環境の悪化を防止する観点から必要があるときは、本条に基づき、合理的と認められる限度において一定の条件の下で例外的に住宅宿泊事業の実施を制限することを認めている。

解説:したがって以下のようなことがガイドラインに記載されていますが、いずれも条例等で規定することは(法令の内容を逸脱しないかぎり)合法ということになります。

実施する用途地域の制限

  1. 区域ごとに,住宅宿泊事業を実施してはならない期間を指定して行う
  2. 区域の指定は,土地利用の状況その他の事情を勘案して,住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化防止することが特に必要である地域内の区域について行う。

曜日や季節の制限

期間の指定は,宿泊に対する需要の状況その他の事情を勘案して,住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止することが特に必要である期間内において行う。

制限の具体例

(条例の具体例)
静穏な環境の維持及び防犯の観点から学校・保育所等の近隣地域において,学校・保育所等の運営に支障をきたすほどに,現状では保たれているその生活環境が悪化するおそれのある場合。
区域:当該施設周辺の一定の地域
期間:月曜日から金曜日まで(学校の長期休暇中は除く。)
※そのほかに,別荘地の静穏な環境や山間部の道路渋滞等を考慮した具体例を挙げている。
 →※実際に、新宿区の住居専用地域については、平日の営業不可、大田区は住居専用地域不可としています。

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