住宅宿泊事業法成立(徹底解説)

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3.住宅宿泊事業法(民泊新法)における用語の定義と解説

第1条、第2条のポイント  法律の第1条は目的条文となっている場合が多いのですが、この法案もそうですね。そして、第2条で用語を明確に定義しています。以下要旨です

○住宅

住宅とは、生活の本拠として使用するために必要な設備が設けられている家屋、人の居住の用に供されていると認められるもの

住宅宿泊事業法の対象の住宅を「届出住宅」といい、建築基準法上の「住宅、長屋、共同住宅、寄宿舎」は届出住宅を含むとしています。

届出住宅に具備すべき設備とポイント(2条1項)  住宅=台所、浴室、便所、洗面設備などがあること。

キッチンが必須となっていますので、この点は旅館業法と異なり、特区法(特区民泊)と類似しています。

以下参考:要綱より

1 この法律において「住宅」とは、次に掲げる要件のいずれにも該当する家屋をいうものとすること。
当該家屋内に台所、浴室、便所、洗面設備等の設備が設けられていること。
⑵ 現に人の生活の本拠として使用されている家屋、従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋等に該当すること。

四雑則
1 都道府県(住宅宿泊事業等関係行政事務を処理する保健所設置市等の区域にあっては、当該保健所設置市等)は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができるものとすること。(第十八条関係)
2 観光庁長官は、住宅宿泊事業者に対し、インターネットを利用することができる機能を有する設備の整備等に関し必要な助言等を行うものとすること。(第十九条関係)
3 観光庁長官は、住宅宿泊事業の実施状況等に関する情報を提供するものとすること。(第二十条関係)
4 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)及びこれに基づく命令の規定において「住宅」、「長屋」、「共同住宅」又は「寄宿舎」とあるのは、届出住宅であるものを含むものとすること。(第二十一条関係)

 ○宿泊

宿泊とは、寝具を利用して施設を利用すること→ほぼ旅館業法と同様の意味です。

※現段階では、解説がないので、マンションの標準管理規約(国土交通省の雛形)との整合性は不明ですが、改正案が国土交通省のHPに掲載されています。http://www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000143.html平成29年6月19日

改正案の要旨は別にこちらのブログ記事に掲載いたしました。

参考:要綱より

2 この法律において「宿泊」とは、寝具を使用して施設を利用することをいうものとすること。

○住宅宿泊事業=いわゆる「民泊」のことです。

住宅宿泊事業とは、旅館業法に規定する営業者(つまり、ホテル、旅館、簡易宿所、下宿の許可業者)以外の者が、宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数として省令で算定した日数が1年間で180日を超えないものをいう。→日数については、省令(つまり施行令)に定めるところとなっていますので、全容、計算方法は現在のところ不明です。

( ホテル旅館業 )≧※180日(住宅宿泊事業(民泊)) 

参考:要綱より

3 この法律において「住宅宿泊事業」とは、旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第三条の二第一項に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数が一年間で百八十日を超えないものをいうものとすること。

第二住宅宿泊事業

届出等
1 都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区(以下「保健所設置市等」という。)であって、その長が住宅宿泊事業等関係行政事務を処理するものの区域にあっては、当該保健所設置市等の長。以下同じ。)に住宅宿泊事業を営む旨の届出をした者は、旅館業法第三条第一項の規定にかかわらず、住宅宿泊事業を営むことができるものとすること。(第三条関係)
2 住宅宿泊事業を営んではならない者を定めるものとすること。(第四条関係)

二業務
1 住宅宿泊事業者は、届出住宅について、各居室の床面積に応じた宿泊者数の制限、定期的な清掃等を講じなければならないものとすること。(第五条関係)
2 住宅宿泊事業者は、届出住宅について、非常用照明器具の設置、避難経路の表示等を講じなければならないものとすること。(第六条関係)
3 住宅宿泊事業者は、外国人観光旅客である宿泊者に対し、届出住宅の設備の使用方法に関する外国語を用いた案内、移動のための交通手段に関する外国語を用いた情報提供等を講じなければならないものとすること。(第七条関係)
4 住宅宿泊事業者は、届出住宅等に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業等の事項を
記載し、都道府県知事の要求があったときは、これを提出しなければならないものとすること。(第八条関係)
5 住宅宿泊事業者は、宿泊者に対し、騒音の防止のために配慮すべき事項等について説明しなければならないものとすること。(第九条関係)
6 住宅宿泊事業者は、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問合せについては、適切かつ迅速にこれに対応しなければならないものとすること。(第十条関係)
7 住宅宿泊事業者は、次のいずれかに該当するときは、当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を一の住宅宿泊管理業者に委託しなければならないものとすること。
⑴ 届出住宅の居室の数が、一定の数を超えるとき。
⑵ 届出住宅に人を宿泊させる間、不在となるとき。(第十一条関係)
8 住宅宿泊事業者は、宿泊サービス提供契約の締結の代理又は媒介を他人に委託するときは、住宅宿泊仲介業者又は旅行業者に委託しなければならないものとすること。(第十二条関係)
9 住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所に、標識を掲げなければならないものとすること。(第十三条関係)
10住宅宿泊事業者は、届出住宅に人を宿泊させた日数等について、定期的に、都道府県知事に報告しなければならないものとすること。(第十四条関係)

3.1住宅宿泊事業者=いわゆる「ホスト」のことです。

  • 住宅宿泊事業者とは、住宅宿泊事業を営む者をいう。→つまりホスト(宿主)のことです。事業者は届出制となります。
  • 届出の主体は都道府県知事(保健所のある市、特別区など)です。

参考:要綱より

4 この法律において「住宅宿泊事業者」とは、届出をして住宅宿泊事業を営む者をいうものとすること。

○第1章~第2章のポイント

以下、住宅宿泊事業の届出のポイントです。

  • 住宅・・・台所、浴室、便所、洗面設備などの設備を具備
  • 180日の上限
  • 寝具の提供
  • 床面積に応じた宿泊者数の制限
  • 図面、誓約書書面の提出
  • 非常用照明器具の設置、非難経路の表示、設備の使用方法に関する外国語を用いた案内
  • 宿泊者名簿設置(氏名、住所、職業)、近隣苦情窓口設置

3.2住宅宿泊管理業務=代行業(者)

  • 住宅宿泊管理業者→いわゆる代行業者のことです。
  • 住宅宿泊管理業務とは、第5条から第11までの規定による業務及び住宅宿泊事業の適正な実施のために必要な届出住宅の維持保全に関する業務をいう。
  • 住宅宿泊管理業とは、住宅宿泊事業者から委託を受けて、報酬を得て住宅宿泊管理業務を営事業ををいいいます。
  • 管理者(つまり代行業者)の登録は5年毎であり、国土交通大臣の登録を受けることとなります。登録要件などの詳細は現段階では明らかではありませんが、同じく国土交通省の賃貸住宅管理業者の登録に似ています。

参考:要綱より

5 この法律において「住宅宿泊管理業務」とは、第二の二1から6までの業務及び住宅宿泊事業の適切な実施のために必要な届出住宅(第二の一1の届出に係る住宅をいう。以下同じ。)の維持保全に関する業務をいうものとすること。
6 この法律において「住宅宿泊管理業」とは、住宅宿泊事業者から委託を受けて、報酬を得て、住宅宿泊管理業務を行う事業をいうものとすること。

第三住宅宿泊管理業
一登録
1 住宅宿泊管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなければならないものとすること。(第二十二条関係)
2 住宅宿泊管理業の登録を拒否しなければならない者を定めるものとすること。(第二十五条関係)
二業務
1 住宅宿泊管理業者は、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならないものとすること。(第二十九条関係)
2 住宅宿泊管理業者は、自己の名義をもって、他人に住宅宿泊管理業を営ませてはならないものとすること。(第三十条関係)
3 住宅宿泊管理業者は、その業務に関して広告をするときは、住宅宿泊管理業者の責任に関する事項等について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないものとすること。(第三十一条関係)
4 住宅宿泊管理業者は、管理受託契約の締結の勧誘をするに際し、又はその解除を妨げるため、住宅宿泊管理業務を委託し、又は委託しようとする住宅宿泊事業者(以下「委託者」という。)に対し、当該管理受託契約に関する事項であって委託者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為等をしてはならないものとすること。(第三十二条関係)
5 住宅宿泊管理業者は、管理受託契約を締結しようとするときは、委託者(住宅宿泊管理業者である者を除く。)に対し、当該管理受託契約を締結するまでに、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項等について、書面を交付して説明しなければならないものとすること。(第三十三条関係)
6 住宅宿泊管理業者は、管理受託契約を締結したときは、委託者に対し、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を交付しなければならないものとすること。(第三十四条関係)
7 住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊事業者から委託された住宅宿泊管理業務の全部を他の者に対し、再委託してはならないものとすること。(第三十五条関係)
8 住宅宿泊管理業者は、その業務に従事する使用人その他の従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならないものとすること。
(第三十七条関係)
9 住宅宿泊管理業者は、その営業所又は事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え付け、届出住宅ごとに管理受託契約について契約年月日等を記載し、これを保存しなければならないものとすること。(第三十八条関係)
10住宅宿泊管理業者は、その営業所又は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、標識を掲げなければならないものとすること。(第三十九条関係)
11住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊管理業務の実施状況等について、定期的に、住宅宿泊事業者に報告しなければならないものとすること。(第四十条関係)

3.3住宅宿泊仲介業務・住宅宿泊仲介業者

  • 住宅宿泊仲介業務→宿泊者又は住宅宿泊事業者のために、代理、媒介、取次する行為→つまりAirbnb社や旅行業法における許可業者が行うような旅行代理店のようなサービスのことです。
  • 住宅宿泊仲介業者登録を受けて仲介業を営む者
  • 登録は5年毎(観光庁の登録)→財産的基礎の要件があります。

参考:要綱より

7 この法律において「住宅宿泊管理業者」とは、登録を受けて住宅宿泊管理業を営む者をいうものとすること。

8 この法律において「住宅宿泊仲介業務」とは、次に掲げる行為をいうものとすること。
⑴ 宿泊者のため、届出住宅における宿泊のサービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為
⑵ 住宅宿泊事業者のため、宿泊者に対する届出住宅における宿泊のサービスの提供について、代理して契約を締結し、又は媒介をする行為
9 この法律において「住宅宿泊仲介業」とは、旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)第六条の四第一項に規定する旅行業者以外の者が、報酬を得て、8に掲げる行為を行う事業をいうものとすること。
この法律において「住宅宿泊仲介業者」とは、登録を受けて住宅宿泊仲介業を営む者をいうものと
10すること。(第二条関係)

第四住宅宿泊仲介業
一登録
1 観光庁長官の登録を受けた者は、旅行業法第三条の規定にかかわらず、住宅宿泊仲介業を営むことができるものとすること。(第四十六条関係)
2 住宅宿泊仲介業の登録を拒否しなければならない者を定めるものとすること。(第四十九条関係)
二業務
1 住宅宿泊仲介業者は、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならないものとすること。(第五十三条関係)
2 住宅宿泊仲介業者は、自己の名義をもって、他人に住宅宿泊仲介業を営ませてはならないものとすること。(第五十四条関係)
3 住宅宿泊仲介業者は、宿泊者と締結する住宅宿泊仲介業務に関する契約(以下「住宅宿泊仲介契約」という。)に関し、住宅宿泊仲介業約款を定め、その実施前に、観光庁長官に届け出なければならないものとすること。(第五十五条関係)
4 住宅宿泊仲介業者は、その業務の開始前に、宿泊者及び住宅宿泊事業者から収受する住宅宿泊仲介業務に関する料金を定め、これを公示しなければならないものとすること。(第五十六条関係)
5 住宅宿泊仲介業者は、住宅宿泊仲介契約の締結の勧誘をするに際し、又はその解除を妨げるため、宿泊者に対し、当該住宅宿泊仲介契約に関する事項であって宿泊者の判断に影響を及ぼすこととなる
重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならないものとすること。(第五十七条関係)
6 住宅宿泊仲介業者又はその代理人、使用人その他の従業者は、その行う住宅宿泊仲介業務に関連して、宿泊者に対し、法令に違反する行為を行うことをあっせんし、又はその行為を行うことに関し便
宜を供与すること等をしてはならないものとすること。(第五十八条関係)
7 住宅宿泊仲介業者は、住宅宿泊仲介契約を締結しようとするときは、宿泊者に対し、当該住宅宿泊仲介契約を締結するまでに、住宅宿泊仲介契約の内容及びその履行に関する事項について、書面を交付して説明しなければならないものとすること。(第五十九条関係)
8 住宅宿泊仲介業者は、その営業所又は事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、標識を掲げなければ
ならないものとすること。(第六十条関係)

三 監督
1 観光庁長官は、住宅宿泊仲介業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、住宅宿泊仲介業者(国内に住所若しくは居所を有しない自然人又は国内に主たる事務所を有しない法人その他の団体であって、外国において住宅宿泊仲介業を営む者(以下「外国住宅宿泊仲介業者」という。)を除く。以下同じ。)に対し、業務の方法の変更等を命ずることができるものとすること。(第六十一条関係)
2 観光庁長官は、住宅宿泊仲介業者が一定の要件に該当するときは、その登録を取り消し、又は一年以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができるものとすること。(第六十二条関係)
3 観光庁長官は、外国住宅宿泊仲介業者が一定の要件に該当するときは、その登録を取り消し、又は一年以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を請求することができるものとすること。
(第六十三条関係)
4 観光庁長官は、2の処分又は3の登録の取消し若しくは業務の停止の請求をしたときは、その旨を公告しなければならないものとすること。(第六十五条関係)
5 観光庁長官は、住宅宿泊仲介業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、住宅宿泊仲介業者に対し、その業務に関し報告を求め、又はその職員に、住宅宿泊仲介業者の営業所若しくは事務所に立ち入り、その業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができるものとすること。(第六十六条関係)
四旅行業法の特例
旅行業者が旅行業法第二条第一項第四号に掲げる旅行業務(同条第三項に規定する旅行業務をいう。)として第一の二8 の行為を取り扱う場合における所要の読替え規定を設けるものとすること。(第六十七条関係)

※本記事は加筆中ですので、順次追加していきます。

 4.法律施行までのスケジュール(予想)

平成29年6月9日法案可決・成立

・施行日を定める政令制定
本則施行日が確定します

・施行期日が確定すれば全体のスケジュールが確定しますが、通常は、同法に関する政令や省令が制定され、
おそらくは具体的な基準(ガイドライン)が示されることとなります。
通常は、国のガイドラインが決まらないと各都道府県の条例が決まらない→国の方針のもと、ほぼ横並びで条例が作られます。

各都道府県で条例検討、各地方議会で採決を取り条例を制定します。ただし、地方議会は開催日程がバラバラなので注意して下さい。

条例制定(●●県住宅宿泊事業法施行条例、併せて施行規則も制定されるかもしれません)

「住宅宿泊事業者」の届出の開始 ※国でシステム開発など運用を整備することも考えられます。

住宅宿泊事業法施行・住宅宿泊事業開始(※早ければ2018年1月施行といわれています)

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