水質汚濁防止法と民泊について

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住宅宿泊事業法(いわゆる「民泊新法」)が2019年6月15日に施行されスタートしましたが、これに伴い、水質汚濁防止法の届出対象となる場合がありますので、今回は、水質汚濁防止法(昭和45年12月25日法律第138号)について解説いたします。

所管 環境省  ※実務は都道府県管轄

第一条 この法律は、工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出及び地下に浸透する水の浸透を規制するとともに、生活排水対策の実施を推進すること等によつて、公共用水域及び地下水の水質の汚濁(水質以外の水の状態が悪化することを含む。以下同じ。)の防止を図り、もつて国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに工場及び事業場から排出される汚水及び廃液に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とする。
第二条 この法律において「公共用水域」とは、河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他公共の用に供される水域及びこれに接続する公共溝渠こうきよ、かんがい用水路その他公共の用に供される水路(下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第二条第三号及び第四号に規定する公共下水道及び流域下水道であつて、同条第六号に規定する終末処理場を設置しているもの(その流域下水道に接続する公共下水道を含む。)を除く。)をいう。
2 この法律において「特定施設」とは、次の各号のいずれかの要件を備える汚水又は廃液を排出する施設で政令で定めるものをいう。
一 カドミウムその他の人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定める物質(以下「有害物質」という。)を含むこと。
二 化学的酸素要求量その他の水の汚染状態(熱によるものを含み、前号に規定する物質によるものを除く。)を示す項目として政令で定める項目に関し、生活環境に係る被害を生ずるおそれがある程度のものであること。
3 この法律において「指定地域特定施設」とは、第四条の二第一項に規定する指定水域の水質にとつて前項第二号に規定する程度の汚水又は廃液を排出する施設として政令で定める施設で同条第一項に規定する指定地域に設置されるものをいう。
4 この法律において「指定施設」とは、有害物質を貯蔵し、若しくは使用し、又は有害物質及び次項に規定する油以外の物質であつて公共用水域に多量に排出されることにより人の健康若しくは生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定めるもの(第十四条の二第二項において「指定物質」という。)を製造し、貯蔵し、使用し、若しくは処理する施設をいう。
5 この法律において「貯油施設等」とは、重油その他の政令で定める油(以下単に「油」という。)を貯蔵し、又は油を含む水を処理する施設で政令で定めるものをいう。
6 この法律において「排出水」とは、特定施設(指定地域特定施設を含む。以下同じ。)を設置する工場又は事業場(以下「特定事業場」という。)から公共用水域に排出される水をいう。
7 この法律において「汚水等」とは、特定施設から排出される汚水又は廃液をいう。
8 この法律において「特定地下浸透水」とは、有害物質を、その施設において製造し、使用し、又は処理する特定施設(指定地域特定施設を除く。以下「有害物質使用特定施設」という。)を設置する特定事業場(以下「有害物質使用特定事業場」という。)から地下に浸透する水で有害物質使用特定施設に係る汚水等(これを処理したものを含む。)を含むものをいう。
9 この法律において「生活排水」とは、炊事、洗濯、入浴等人の生活に伴い公共用水域に排出される水(排出水を除く。)をいう。
と定義されています。水質汚濁防止法では、「旅館業の用に供するちゅう房施設、洗濯施設、入浴施設」が特定施設とされていますので、旅館業の用に供するというところが問題となりますが、旅館業法においては、2条1項に規定されていますが、住宅宿泊事業についても水質汚濁防止法上の特定施設に含まれるとされています。
※しかし、例を2年の改正(改正政令(令和2年12月18日付環水大水発2012181号))により、住宅宿泊事業の施設については、届け出の対象外となりました。
※旅館業については、簡易宿所と旅館ホテルで多少の疑義はあるものの、届出の対象となります。

水質汚濁防止法における届出住宅の施設に関する取扱い→旅館業と同様

上記通達の中で、「新法の施行に伴い、従来から存在する旅館業法第3条第1項に基づき都道府県知事から営業の許可を受けた者のみならず、当該新法に規定する住宅宿泊事業を営業する者の施設が、旅館業法第2条第1項に規定する旅館業の対象に含まれることとなる。」とされていますので、住宅宿泊事業の届出に伴い、水質汚濁防止法に基づく届出が必要になる場合があります。

水質汚濁防止法に基づく届出とは

水質汚濁防止法で定められる特定施設の設置者は、住宅宿泊事業法の届出とは別に、水質汚濁防止法の届出が必要になる場合があります。届出が必要かどうかは、通常は、特定施設(つまり民泊施設や旅館)からの排水先によって判断つれます。※以下は一般的な事例ですので、詳しくは対象自治体に確認が必要です。以下、東京都の例で説明します。

特定施設からの排水先、届出の有無
特定施設からの排水先水質汚濁防止法の届出
河川や海域などの公共用水域届出が必要
分流式下水道(※注1)届出が必要(※注2)
合流式下水道(注釈3)届出不要(東京都23区内の場合は概ねこれにあたります。以下の図参照)

注1:分流式下水道とは、雨水と汚水を別々の下水道のことです。つまり汚水は汚水管を流れて下水処理場で処理され、雨水は雨水管を流れて公共用水域(川など)に排水されます。
注2:通常はマンション等の集合住宅の一部で住宅宿泊事業を営む場合、届出は不要
注3:合流式下水道とは、雨水と汚水を同一管きょ(管渠と書きますが、地下水路、つまり下水管のことです。 )で処理する方式の下水道のことです。東京23区は以下のマップのとおり、ほぼ合流式となっています。

※住宅宿泊士業の届出に際し、水質汚濁防止法に係る届出についても検討する必要かあり、特に合流式の下水道以外の地域については、必要となってきます。

なお、水質汚濁防止法の届出については、以下のような情報(添付資料)が必要となってきます(以下、神奈川県のものです。)。

添付書類書類の説明【指定様式】
1工場案内図事業所の場所がわかる地図
2特定施設・汚水等の処理施設及びこれらに関連する主要施設の配置図平面図に対象施設を明記し、施設番号・施設名称を記載
3有害物質使用特定施設等に係る設備配置図設備配置図
4特定施設の構造図・仕様書・カタログ類構造図には、主要寸法を明記
5有害物質使用特定施設等に係る設備の構造図・仕様書・カタログ類設備本体、配管等及び排水溝等の構造図
6特定施設を含む操業の系統生産工程図(フローシート)など
7用水及び排水の系統図特定施設・汚水等の処理施設及びこれらに関連する主要施設と、用水(上水・井戸水等)及び排水(生活排水・工程排水・雨水排水等)別の経路を平面図に明記
8有害物質の搬入搬出系統図
9使用する原材料等の成分表・MSDS等
10汚水等の処理施設の構造図・仕様書・カタログ類構造図には、主要寸法を明記
11汚水等の処理の系統
12汚水等の処理施設の設計計算書

上記については、旅館業法や住宅宿泊事業法の届出とは異なりとますので、詳しくはお問い合わせください。

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